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2009年10月26日

香りの価値(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

食欲の秋!
そして、秋を代表する食の一つが松茸です。
独特の香りを持ち、日本では茸の最高級品の一つに位置しています。
「香りマツタケ、味しめじ」なんて言いますからね。
ま、しめじと比べて価格が高いのが難点でが。
香りに高い価値を置くのも日本人の特徴なのでしょう。

松茸にも代表されるように、日本人は香りを重宝する人種のようです。
日本の宝物が納められている東大寺正倉院宝物の中には、
長さが156cmもある巨大な香木、「黄熟香」があります。
9世紀頃に中国から伝来されたと言われる「黄熟香」は、
足利義政、織田信長…といった時の権力者たちが、
断片を切り取り、香を味わったそうです。
権力の一つの形として、香木の香りというのもあったのでしょう。

葬儀においても、香りは大切にされてきました。
「香典」、「焼香」、「線香」など、香りに関係する言葉は多くあります。
「香典」は、そもそも「香りを供える」という意味を含んでいます。
今は、相互扶助の意味合いが強いですけどね。

1930年前後までは、ドライアイスを大量生産する会社がありませんでした。
(日本では、日本ドライアイス株式会社が、
 最初にドライアイスを工業化したとされています)
それ以前は、死者の腐敗に伴って臭いもするので、
お香を焚いて紛らわせていたようです。

「香を焚いて匂いを紛らわす」という考え方は、
平安時代から既に続いていたと考えられます。
源氏物語に代表される十二単はなかなか洗濯できません。
(トイレに行くのも大変そうです!)
そこで、部屋にお香を焚いて、
服についた臭いを紛らわせるという方法がとられていたようです。

そのような時代に、前述の「黄熟香」は中国から送られてきたので、
憧れの存在だったのでしょうね。
ちなみに、「黄熟香」は「沈香」といわれる種類の香木です。
線香の原材料で使われる香木は、主に沈香と白檀ですので、
日々線香の香りを堪能している葬儀業界の人は、
香りに関しては贅沢しているかもしれません。

また、香りは英語で「Perfume」と書きます。
単語を分解すると「Per(throught)+fume(煙)」です。
「煙を通して」という意味になります。
人が香りに接した方法は、香木に火をつけたことによると、
英語の語源にも表しているそうです。

インドでは、香木で火葬するのが一般的と言います。
釈尊も、弟子たちが持ち寄った香木を積み、荼毘に付されたそうです。
日本では、火葬の場面で香木を使うことは滅多ないでしょう。
「火葬の本質は、その火や煙を見ること」と、Y先生から聞いたことがあります。
インドでは、それに加えて「その香りを嗅ぐこと」も含まれるのかもしれません。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2009年10月26日 09:00

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