お客様が打ち合わせに来るのと、
担当者が打ち合わせに行くのでは、コストが違う。
担当者が打ち合わせに行く場合、交通費、移動時間の人件費が負担になる。
複数人数で打ち合わせに行くのであれば、負担も上がる。
お客様に来てもらえれば、その負担はお客様が持つことになる。
また、お客様の心理的にも、打ち合わせに足を運ぶか否かで、
「買おうとしている」「買わされようとしている」という差が出る。
同じ葬儀プランのラインナップを見るにしても、
自ら葬儀会館に行って打ち合わせる時は、「買おうとしている」感じがする。
逆に、担当者が宗家に来て打ち合わせる時は、「買わされている」感じがする。
葬儀社としては、お客様に打ち合わせに来てもらう方が、
多くのメリットを享受できる。
しかし、葬儀では担当者がお客様の所に行くことが多い。
遺族は身近な人を亡くして、精神的に負担がある。
わざわざ遺族に会館に来てもらわず、担当者が伺って話を聞くのが、
遺族への配慮…という理由が、何より先にあるだろう。
それに加えて、そもそもお客様に「選ばれていない(突然の出来事だったため、
お客様が葬儀社を選んだとは思っていない)」ということが、
お客様に来てもらえない理由の一つにあるのではなかろうか。
ウェディングでは、ゼクシィを始めとする雑誌の窓口があり、
インターネットでの情報提供も多い。
そこから会場での事前説明会・ウェディングフェアがあって、
概算が提示され考えた末に一つの式場を選ぶことになる。
この「選んだ」「選ばれた」という感覚が、
その後の打ち合わせの流れで企業側に有利に働き、
お客様が会場に足を運ぶ理由にもなる。
葬祭でも、葬儀社からのインターネットでの情報提供は、
当然のように行われるようになっている。
それだけではなく、大手葬儀社を始めとして事前説明会も行われている。
式場の雰囲気や実際のサービスは、インターネットだけでは難しく、
会館に行ってみないとわからないことも多い。
事前説明会は手間も掛りそうだが、「選ばれる」ためには重要な催しだろう。
「選ばれる葬儀社」になるための努力の積み重ねが、
お客様からも足を運ぼうとする雰囲気を生むだろう。
また、「選ばれる葬儀社」になるための努力の積み重ねが、
サービス業として葬儀業界全体が成熟していくためにも、
重要なように思う。