発表では、遺影写真、追悼DVD、オリジナル会葬礼状、
メモリアルパネルと分野を分けて、それぞれ考察が書かれていました。
中でも最もページを割かれていたのは、追悼DVDに関することでした。
近年では葬儀において一般となってきている映像サービスを、
自社のサービスとしていかに定着させたか。
その過程が詳細に述べられていました。
追悼DVDを自社のサービスとして導入する過程は、
3つのポイントに分けて書かれていました。
まず1点目は、『自分がDVDを制作できるようになること』。
最初、発表者は映像制作に慣れておらず(誰でもそうですが)、
5分程度の映像を制作するのに3時間程度掛ったそうです。
試行錯誤しながら、画面の変遷(トランジション)をどうするか、
写真のキャンプションやテロップ(文字説明)を入れるかどうか、
映像に流れるBGMをどうするか等、考察が述べられていました。
最終的には、「シンプルで」「自然な演出」という方向性を見出すのですが、
ただ、単純にシンプルな映像を作るのではなく、
「魂を込める」ことが1つのポイントとして挙げられていました。
「魂を込める」とは、担当者の姿勢として遺族から単純に写真を預かるだけでなく、
特別な思いやエピソードを聞いた上で映像制作に取り組む、ということです。
次に、『会社サービスとしてDVD演出を定着させること』が書かれていました。
発表者は、規模の大きな葬儀社の中核を担う方ですので、
自分自身が映像を制作できるだけでなく、
担当者の従業員全員が映像サービスを提供できるようにしなければなりません。
DVD映像受注から納品までの作業の流れを策定し、
制作する映像の方向性を社員で共有し、また社内体制を整える必要があります。
何か新しくサービスを取り入れるにあたっては、
この「会社サービスとして定着させること」が最も労力を要することだと思います。
FUNETにおける私のサポートでは、個々が映像制作できることはケアできますが、
社内体制をどう作るかという点は殆ど関与できません。
それゆえ、組織に強いリーダーシップを持った人がいるかが重要になります。
また、日常業務を持ちながらの作業になりで、多忙を極めることだと想像しますので、
そのリーダーに体力も必要になります。
発表者の方は、まず自分で映像を制作するところから始めました。
そして、良い点や苦労する点、寺院の反応も自分で経験し、
他の従業員とも意見を交換しながら、ベストな方法を考察していきました。
体力を維持しつつ、従業員を巻き込んで、粘り強く社内体制を築いていった点が、
会社にDVD映像が根付いた要因だと思います。
このあたりのセクションを読み進めると、
発表者の素直な文章やその過程に触れて尊敬と関心を抱きます。
多くの従業員を引っ張るリーダーシップは、貴重だと思います。
そして、最後の3点目…。
長くなってきたので、明日に続けたいと思います。