3点目は、『サービスが浸透した後の、
作業を効率化(負担削減)すること』について書かれていました。
具体的には、映像を作成するにあたって、
信頼できる外注に任せること(アウトソーシングの活用)についてです。
大きな企業になるほど、従業員個々の能力の違いが出てくるので、
全ての社員が同じレベルでDVD映像を作成することは難しくなります。
また、内勤専門の従業員にDVD制作を兼務させたとしても、
対応できる数には限りがあります。
全てのお客様に一定の品質のサービスを提供する(サービスの標準化)には、
社員を「教育する」か「外注する」か、どちらかしかありません。
発表者は社内全体の状況を鑑みて、
月で50件近いDVDの依頼をされるようになった頃から、
外注に切り替えたそうです。
しかし、単純に外注に映像を丸投げするのではなく、
1点目や2点目で築いてきた自社の映像制作方針に則った形で、
外注にお願しているということです。
ゼロの状態から外注しても、形だけは同様に映像のサービスが出来るかもしれません。
しかし、会社としてDVD映像をどのようなサービスとして位置づけるのか、
どのような映像を作成するのかなどは、
100%外注のラインナップに委ねてしまうことになります。
お客様は、映像の完成品しか見えないかもしれません。
しかし、「映像が流行っているから」という理由で映像サービスを提供することと、
自社ブランド(どのような葬儀サービスを提供するか)を鑑み、
映像作りのサービスの方針(コンセプト)を練り、
従業員と試行錯誤して、お客様や寺院など関係者の反応を見ながら修正し、
個々の遺族のために映像を作っていく…その過程を経て映像サービスを提供するのでは、
会社全体の映像サービスの質として、大きな違いが生まれてくると思います。
ちなみに、発表者自身は映像制作を自分自身で行っているそうです。
そこには、本来は外注せずに担当者自身で映像を作成した方が、
より良いということ、より遺族と向き合えるということを、
実感しているからだと思います。
「通夜や葬儀という儀式の準備段階において、
遺族が写真を囲む時間を過ごすきっかけを作ることが重要」
という方針で、DVD映像の導入の位置づけが書かれていました。
一方で、従業員も「DVD作成の時間を通して故人の人生を考え、
より遺族の気持ちに沿った(遺族側に立った)立場で、通夜や葬儀に臨める」
ということになるのではないでしょうか。
DVD映像だけでなく、全体の葬儀というサービス提供の質の向上を考えた場合、
自分で作るということの効果は、
従業員の葬儀に対する意識の向上に表れるのかもしれません。
外注が駄目だとは全く思いませんが、
本来ある葬儀サービスのベストの形を意識しなくなることは、危険だと思います。
今回の発表では、DVD映像の制作を通して、
会社体制はどうあるべきか…という点を感じさせてくれたと思います。
従業員はそれぞれモチベーションが違うと思いますが、
そういう全ての状況も含めて、より良い葬儀にしていこうというリーダーシップが、
非常に貴重なものだと発表を読んで実感しました。
今回の発表を読んで胸が熱くなったのは、
発表者のリーダーシップに触れられたから…
そこが一番大きかったと思います。