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2010年02月26日

偲びのコミュニケーション(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

先日、「霊きゅう車使用無料に」というニュースの表題を見て、
葬儀社がどんなビジネスを考えたのだろうと思って見てみたら、
加古川市の施策のことでした。
葬儀において、今まで29人乗り送迎バスを市が負担していたようですが、
核家族化や少子化で斎場に行く親族が減少したため送迎バスの利用が減り、
実情に併せて、市の送迎バスの負担を霊柩車の負担に変えようという内容でした。
市の政策にも影響が出るほど、
葬儀の会葬者の数は減っているのかと感じた次第です。

都市圏の葬儀の会葬者が減りだしていることは、
数年前から葬儀社からも実情として声が聞こえ出していました。
今尚、その傾向は続いているのでしょう。
会葬者の減少傾向は、まだ底が見えない気がします。

会葬者の減少の原因の一つには、
地域の人と人との付き合いが減っていることが考えられます。
核家族化で、家族間の交流が減っている。
また、インターネットやテレビ、雑誌などメディアの発展で、
地縁や小さな地域集会の機会が減っている。
そのような社会的な変化が、会葬者の減少に影響しているように思います。

一方で、インターネットにおける「偲び」行為に関しては、
ネット人口の増加に伴って、増えているようです。
気になって調べてみたのですが、
例えば、先日亡くなった「藤田まこと」さんを2chで検索すると、
50個程のスレッドが並びます。
一つ一つのスレッドを見たわけではありませんが、
匿名ながらも「合掌」「お疲れ様でした」など、偲びの言葉が並んでいました。
案外、誹謗中傷は無いものです。

有名人だけでなく、個人のブログでも、
自らの「父の死」や「母の死」を書いているものがあります。
グーグルやヤフー等で検索すると、いくつかのブログがヒットします。
その中の一つは、筆者の親の死の臨終に至る状況や、
筆者の親に対する想い・偲びが書かれていました。
また、そのブログ記事に対して「心より、ご冥福をお祈り申し上げます」と
第三者のコメントが付いていました。

「偲び」や「慰め」のコミュニケーションが、
葬儀場に行くだけでなく、ネット上でも行われている。
今の時代、考えてみれば当然なのでしょうが、
実際に目の当たりにすると興味深いものでもあります。

インターネットの発展で、様々なコミュニケーションに変化が表れています。
「故人を偲ぶ」という行為も例外ではないようです。
葬儀場で出せなかった感情を、
匿名だからネット上ではき出せるということもあるかもしれません。
葬儀場というリアルな場所が、不要となることは無いでしょうが、
ただ、インターネット上でも偲びのコミュニケーションがあることは興味深く、
今後も気にかけておきたいことだと思います。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年02月26日 09:00

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