まぁ、ちょっと和歌山の地元住民が悪者扱いなのは可哀想ですね。
ドキュメンタリー作品は、監督の意図があっての映像表現です。
ありのままの事実ではありません。
監督が、視聴者に対して意図する通りに思わせたい、
例えば、イルカが屠殺されることを可哀想だと思わせたい、
という恣意的な撮影や編集があって初めて成り立つジャンルです。
ありのままの事実を見せたいのであれば、
編集していない映像を見せれば良いのですから。
(しかし、つまらない映像になるでしょう)
そのような監督の意図があるにも関わらず、
「イルカを屠殺している和歌山の地元住民」=「悪い」といった、
刷り込みが起きやすいのは怖いですよね。
アカデミー賞を取った作品なら尚更でしょう。
世の中の全てを知りえることはできないのですから、不足している情報量の中で、
ドキュメンタリー作品の大きさ、マスメディアの力を感じます。
イルカを屠殺して食べることを考えてみると、イルカの場合は非難される一方ですが、
牛や豚、鳥は非難されることなく屠殺されています。
クジラやイルカは(最近ではマグロも駄目になるそうですが)、
なぜ他の動物と違って特別なのだろうとも思います。
「絶滅しかけている種だから」と言われれば、
「確かに数を制限して屠殺しないとね」とも思います。
(漁業法で制限されています)
ただし、「ザ・コーブ」という作品は、
「種の保存」というより屠殺の残虐さに非難が集中しているようで…。
それだったら、牛や豚や鳥の屠殺方法と比較しないといけないのでしょうけど、
それは監督の意図するところではないと。
もちろん、牛や豚や鳥が屠殺されるシーンというのはない(と思います)。
ただイルカが屠殺されること自体が、残虐だと。環境保護に反していると。
となると、監督の恣意的な主張のみが世界を席巻するのは、
和歌山の地元住民が可哀想な気もします。
ま、人の感情に訴えるのがドキュメンタリーですから、
論理的な話をしても意味のないことかもしれません。
プロジェクトXのように、取材される側がカッコ良く描かれれば、
トラブルも少ないのでしょうけどね。
今回は不幸にも、取材する側とされる側で全く違う価値観だったようです。
このドキュメンタリー映画「カーヴ」で、
世界の非難が集まるのは仕方のないこと…とは思いながらも、
日本人として和歌山の地元住民の肩を持ちたい気分ではあります。
何にせよ、まだ映画を見ていないのですけどね…。
(公開されていないし)
それにしても、トヨタといい、イルカといい、
海外からの日本バッシングが続くものです。
最近の日本は、外交が下手ですな。