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2010年05月17日

言葉に関して(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

歌舞伎等において公演の最後の日を「千秋楽」と言いますが、
江戸時代は「千穐楽」と書いたそうです。
小屋の火事が多かった時代、「火」という字を避ける意味があり、
また「亀」なら、めでたいだろうということだったようです。
今では「千穐楽」という字を見ることは少なくなりました。

同様に、同じ意味なのに漢字が違うものとして、
「一生懸命」と「一所懸命」があります。
そもそもは【武士が生活のすべてをその所領にかけること】という意味で、
古くは「一所懸命」が初めにあったようです。
それが【命がけで物事をすること。全力をあげて何かをするさま】という意味で、
今では「一生懸命」がよくつかわれるようになっています。
NHKでも、一般的に「一生懸命」を使うそうです。

このように見ると、漢字や言葉は、
その時々で微妙に進化していく生き物のような道具だと実感できます。
時代に合った意味、使われ方をして、
人々のコミュニケーションを仲介していく道具です。

しかし、この言葉の変化と「言い間違い」とは、全く違います。
例えば、「彼は、もはや押しも押されぬ大物になった」という文章…。
これを見て、アレ?変だな?と思わない人は要注意。
正しくは「押しも押されもせぬ大物になった」です。
あと「情報漏洩を守る」という使い方もおかしいですね。
正確には「情報漏洩を防ぐ」でしょう。
自戒の意味も込めて、言い間違いには注意したいところです。

最後に、言葉の語源に関して。
「オシャカになる」という言葉。
意味は「作りそこなう」ということですが、
どうしてオシャカになるというのでしょうか。

この言葉は、鋳物職人の間で生まれた言葉と言われています。
鋳物作りは溶けた金属の「湯」を型に流し込み、うまく固まれば成功。
ところが、火が強すぎて「湯」の温度が高くなりすぎると、
型のとおりのかたちにならない失敗作になるそうです。
そして、「うまくいかなかった。火が強かった」ということを、
江戸のなまりでは「シが強かった」と言う。
「シが強かった」→「四月八日だった」→
「四月八日は灌仏会(お釈迦様が生まれた日)」→「オシャカになる」
という流れで、不良品を作ってしまうことを、
「オシャカになる」と言うようになったと…。

なかなか洒落の利いた語源だと思います。
ということで、亡くなった人に対して、
くれぐれも「オシャカになった」とは言い間違わないように。

ではでは。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年05月17日 09:00

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