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2010年05月12日

竜樹菩薩のお話 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

中央仏教学院で学んでいた時の事だけど、
私は竜樹(ナーガールジュナ)については、何故だか興味が持てなかった。
今思うと勿体ないが、担当された講師が悪いのではないか?・・・と思っている。
(こらっ、他人のせいかいっ!)
だって当時は、魅力的な話があまり伝わらなかったから。
しかし、改めて勉強してみると・・・最近は面白く感じられる。

竜樹(ナーガールジュナ)は、仏教界が生んだ大天才と言われる人物で、
慈悲の仏教と言われる大乗仏教の母かもしれぬ。
もしかしたら、釈迦の初期仏教を思い切り、思い切りこれでもか・・・と捻じ曲げて、
人々に慕われた釈迦の名前だけは残しつつ、本来の仏教を大転換させた・・・ようだ。
そうして大乗仏教の方向へ導いた、云わば、仏教の救いの「神」なのかもしれぬ。
確かに、慈悲の大乗仏教はある意味拡散を見せた。
日本に伝播する以前の話だ。

天才の「捻じ曲げ」振りは、釈迦が説いたとされる次の一説・・・
「万物は流転し、関連しあっている。何一つとして永遠に不変なものはない。
それが私のダルマ(法)の基本である」・・・を、全ての物が不変ではないなら、
釈迦が説いたダルマ(法)もそうであろう、と一休さんのトンチのような事を言って、
難解な言葉で組み立てた力技そのものの理屈で、大乗仏教へ舵を切ったのだ。
(釈迦に対する尊敬の念はあるのだろうか)
つまり、一切は「空」なのだと。
これが釈迦の思想を、新しい視点で見せたと言われている。

この「空」というのは中国の訳だが、当時中国にはゼロの概念が無い。
(ゼロはインド人が発明したと言われている)
だからとても困った・・・そこで生み出されたのが「空」である。
「色即是空」とは、「(色)物は即ち(すなわち)是(これ)ゼロなんだよ」ということだ。
だったらお経の時にも分かりやすくそう言ってよ。
小難しく呪文のように読まずにさあ、参列者に分かりやすくやりましょうよ!

日本の葬式仏教は、儒教の影響を強く受けた大乗仏教である。
口当たりが良くなるように言えば、日本の仏教は尊い慈悲の大乗仏教である。
どちらも意味は同じだ。
そして全ての物は、とどのつまりゼロ(空)だというのだが、
それでも仏教の本質は「慈悲」にあるのだ、ということで葬式では大乗仏教大流行り。
ならば、私も言おう。(よっ、カッコいい)
竜樹の中論(難しくてとても読めない)も同様に、慈悲の大乗仏教も同様に、
不変ではないのだよ・・・と。
(こりゃ、大分怒られるわ)

これからの葬式仏教、不変でないなら・・・どうなる?
だってお釈迦様がそう仰っておられるのですから。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年05月12日 09:00

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