中でも衝撃的だったのは、
『お布施の金額がわかって安心です(あくまでも目安です)』という記述。
金額がわかるけども、あくまで目安…って、結局金額わかんねいよねコレ。
ま、揚げ足を取るようなことは置いておいても、
お布施の目安が載ってしまうということ自体が、衝撃的です。
本来、お布施はそういう性格のものではありませんから。
お寺さんも、本当に窮地なんでしょうね。
一応、小さな文字で、
「お布施は本来「喜捨」であり「標準」や「統一」すべきものではありませんが、
お客さまにご安心いただけるように目安を表示しました」と書かれていましたけど。
…イオンにとって、檀家は『お客さま』という感覚なのですね。
しかも、サービスの内訳まで書かれてしまって。
直葬でないもので、最も金額の低い例を引用すると、
【読経一式(通夜読経、葬儀読経、火葬場炉前読経、初七日読経)】
+【普通戒名(信士信女)又は普通法号をお付けした場合】=25万円。
何とも言い難いですが、詳細はイオンのホームページを参照してください。
ここまできたら、ジャパネット高田でもやって欲しいですね。
「位牌や数珠も付けて、99,800円」とか言ってくれるのではないでしょうか。
冗談はさておき、こういうことを許してしまうのも、
一般大衆の宗教心の低さの表れなのでしょう。
信仰も薄いのに、お布施がいくらになるのかわからないという不安。
そして、明確なお布施の金額を出してくれた方が安心という、
一般大衆の願いもあるのでしょうね。
宗教はサービス業ではない。
しかし、イオンは「葬式仏教」に関しては、サービス業として位置付けつつある。
料金の目安やサービス内容を示して消費者に提供する。
それによって、「消費者」の信頼を得る。
本来のお布施のカタチは崩れているが、寺院も受け入れている(たぶん)。
今回のニュースは、「葬式仏教」があたかもサービス業のように、
一般市民に料金とその対価としての内容が明示されたこと自体が、
衝撃的だったように思います。
PS.
もし、このまま「葬式仏教」がサービス業化していくのなら、
今後、何年かのうちにお布施の金額は自然に低下していくでしょう。
少子化で亡くなる人は多くなれど、支払う人は減りますからね。
お布施を出す方も、安心してイオンの提供する目安に従うようになるでしょうか。
料金が明示されることで価格競争も起きる気もします。
また、イオンは一般的な葬儀で最も低い金額を「25万円」と出しています。
(直葬では10万円が目安で書かれています)
日本消費者協会の2007年のアンケートで寺院費用の全国平均値が54.9万円でしたので、
それと比較すると低いですが、葬儀の人件費の中では圧倒的に高いですね。
(ま、日本消費者協会のアンケートも、あまり当てにならない数字ですけどね)
いずれ、最低価格も引き下げられていくのではないでしょうか。