「真実の瞬間」は、妻が読んでいた「星野リゾートの教科書」という
本に紹介されていました。(紹介された本の、また紹介で恐縮です…)
この一節を読んでみると、私もサービス業者の端くれとして、
なるほどと思った次第です。
こういうことを書くと恥ずかしいのですが、個人的な「真実の瞬間」は、
主に電話でFUNETの問い合わせを受ける時に訪れているかと思います。
研修の問い合わせの場合は、ほぼ型通りの対応があり、
ポイントとなる話は先生方にしてもらう事になります。
一方で、FUNETの問い合わせは、
私の裁量の比率は、研修の問い合わせに比べて高くなります。
特にコンピュータのトラブルになると、ほぼ私が対応しなければなりません。
電話の掛け主に「困ったこと」があった場合は、応対の瞬発力が要求されます。
まず、顧客が何に困っているかを知る。(できているのかしら)
顧客の問い合わせ内容が把握できた後は、
それに対する「対応方法」がいくつか頭に整列させる。
対応方法は、何個も思い浮かべば浮かぶほど良い。
その中から顧客が最も満足できる対応を取れればベスト。
しかし、時間や金銭的な事情で、ベストな対応は難しいこともあります。
その場合は、次の案、さらに次の案…。
できるだけ「こちらの事情」ではなく「相手の事情」を考えて、
少しでも相手の役に立つ対応を判断していく。
この判断過程の瞬間瞬間が、「真実の瞬間」なのかなと思います。
「真実の瞬間」や「星野リゾートの教科書」に書いていることで興味深いのは、
スタッフの顧客対応の良し悪しは、スタッフ自身の責任というより、
企業体制の責任に重きがあると書いているところです。
例を引用させてもらうと、
・『経営者は、スタッフの対応力を上げるために、解りやすいビジョンを示し、
必要な情報を共有する(売上高、利益など)必要がある』
・『顧客ニーズに迅速に対応するために、階層の少ない組織を作ることが大切』
・『最前線のスタッフは、顧客一人一人のニーズと問題に対応する権限を持つ』
などです。いかがでしょうか。
特に3つ目は、あるスタッフが「顧客一人一人のニーズ」に対応しようとすると、
別のスタッフが「お前だけが、勝手なことをするな」などと口を挟み、
良いことをしているのに、なかなか前に進めない状況を経験している人もいるのでは。
スタッフは誰しも、「労働条件下で、最大限に顧客のために働く」と思っているはずです。
そのスタッフのモチベーションを最大限に活かすのは、経営者。
顧客満足を上げるのは、まず組織体制の改善から。
一つの重要な視点かと思います。