そもそも「後見人」とは、
認知症の高齢者や知的障害者の判断能力に応じて、
本人に代わって財産管理や契約手続きなどを行う人のことです。
サポートのレベルも、「後見」「補佐」「補助」と3種類あります。
日本では、後見人は一般的に、親族の他では、
司法書士や弁護士なの専門家から選ばれることが多いようです。
近年では、身寄りがなく、高額な財産管理を必要としない場合は、
身近な市民が継続的に見守るべきだとの考え方から、
「市民後見人」というポジションも想定されています。
しかしながら、後見人の中でも「市民後見人」の割合はわずか1%。
市民で高齢者を守るという感覚は、なかなか上手くいかないようです。
(ちなみに、先駆けて市民後見人の制度を導入したドイツでは、
後見人の15%が市民後見人という。)
一方で、核家族と高齢化社会が進み、
現在の社会において認知症患者は200万人、
知的障害者は130万人に上るそうです。
それらの後見人を必要とする人の中でも、
成年後見制度の利用者は現在13万人しかいません。
多くの人が身内で世話をしているということでしょう。
核家族の世帯が多いことや家族の負担を考えると、
市民で認知症等の後見人になることは、ニーズがありそうです。
市政でも、市民後見人の養成講座を実施しているところもあります。
しかし、実際に研修を行っているところは、全体の約6%…。
市民後見人を推進していくには、その環境もまだ整っていないようです。
現時点では自治体のバックアップ、またNPO等の力が必要でしょう。
ただ、どうも「後見人」という制度が、
日本人には馴染まない気もしています。
後見人が必要な認知症や知的障害者の人は、家族で守るもの…
という意識が、根底にあるのかもしれません。
おそらく、デスケア的な観点と、近年の後見人トラブルがゆえに、
葬祭ディレクター技能審査でも、後見人の問題が問われだしているのだと推測します。
今のところ葬儀には直接関係することはほとんどないでしょうが、
「後見人」の制度自体は、ある程度知っていて良いのかもしれません。