このモデル事業の受付件数の目標は、当初年間200件としていました。
しかし、毎日新聞によると、
2005年度に事業開始から現在までの5年間で、
受付件数は105件に留まっているそうです。
年間の平均が21件ですから、
目標の1割程度しか達成していないことになります。
モデル事業では、死因を究明するということで、
病理解剖に近い解剖を行うと推測されます。
また、病理解剖と同様に「遺族の同意」が必要です。
しかし、このモデル事業で解剖に至らなかったケースの理由として、
「遺族の同意」が得られなかった件数が最も多い。
記事によると、事務局に相談があったものの、
究明の対象にならなかった事例は196件。
その中でも、「解剖の同意が得られなかった」理由が最多で60件。
遺族は遺体を傷つけたくないと考えたり、
解剖を行う大学病院に遺体を移動することへの抵抗感があるそうです。
解剖に対する抵抗感は、共感できます。
父が亡くなった時、主治医から病理解剖の要望を受けましたが、
断っていたのを覚えています。
生前も病気で苦しんでいたのに、死後も身体を傷つけて苦しませたくない。
日本人には、そういう遺体に対する感性があると思います。
エンバーミングが、アメリカでは9割に海外と比較して、
日本では依然として1%~2%程度になっています。
日本でエンバーミングがなかなか流行っていないのも、
「遺体を傷つけたくない」という日本人の死生観というか、
遺体に対する感性が根強いからではないでしょうか。
一方で、火葬の普及は早かったのですけどね。
現在の日本では、ほぼ100%が火葬です。
(明治以降の天皇は、土葬されていますが)
韓国や欧米等でも火葬が進んでいるようですが、
火葬に対する人々の抵抗は日本より強いようです。
遺体に対する感性というものは其々の国で違いがあります。
それぞれの人によっても、違うでしょう。
しかし、その感性が医療のような公共サービスにも影響を与えることを考えると、
誰か深く調査しないかな…と思ったりします。