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2010年08月17日

死亡の届け出について(工場長)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

7月に都内で111歳・・・とされていた男性の白骨遺体が見つかり、
年金を不正受給していた可能性があると捜査された事件があった。
死後30年余り経っていたのではないかとみられているから、
相当年数、その死を隠蔽していたことになる。
死を隠蔽した理由に関しては不明だが、
気になったのは、家族(遺族)がその気になれば、
社会的な死は思った以上に隠すことができる…ということである。

葬祭ディレクター技能審査にもよく出題されるが、
死亡の届け出は、戸籍法の第86条、第87条に規定されている。
引用してみると、

第86条
死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から
七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、
これをしなければならない。
第87条
左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。
但し、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

とある。
実際は、遺族自身が死亡届の手続きを行うケースは稀で、
葬儀業者が代行するケースがほとんどだそうだ。
死亡届の提出と併せて火葬許可証の交付を受け、
火葬するのが通例である。(日本の火葬率は99.8%で、世界一)

今回の場合は、遺族の証言によれば、
「本人が即身成仏すると言って自室にこもった」そうで、
少なくともその2年後には、親族がミイラ化した遺体を確認している。
戸籍法第86条に従うと、その7日以内には死亡届を出さなければならない。
さらに、戸籍法第87条に従うと、
同居の親族に死亡届の提出義務があるということになる。
死亡の届け出が遅延したということにおいては、遺族に非があるということになる。
(…もちろん、それ以前の問題として、死に瀕した老人を救助する必要があり、
  肉体的な死を放置し続けた責任があり、そのあたりの糾明も重要ではある。)

一方で、今回の事件で行政管理のずさんさというか、
管理の甘さも浮き彫りになった。
効率的な管理の仕組みを作り上げてきたのだろうけれども、
抜け穴はあるものですな。
今後は改善されていくのでしょうが、
今回、社会的に何十年も生きたことになったままになっていた…というのは、
本人にとってかわいそうな気もします。
その死が、誰にも気づかれなかったという意味で。

地縁の薄さというか、人に会う機会が減っているというか、
そういった社会の性質そのものに、問題があるのかもしれません。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2010年08月17日 08:12

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