墓石は、およそ100万円程度の費用が掛ります。
2007年度に行われた全国石材店のアンケート調査によると、
東日本の平均販売価格は146万円、西日本の平均販売価格は124万円だったそうです。
100万円以上の費用が掛ったものも、
不要になると行き場を失うというのは、何とも残念な話です。
しかし、こういった無縁墓のトラブルは、
そもそもお墓等が「供養や祈りの対象」であり、祈る側がいなくなると、
その対象も必然的に不要になることを再確認させてくれます。
墓石の不法投棄も問題ですが、無縁墓が増え続けていることにも問題があります。
無縁墓が増加しているのなら、お墓の在り方がこのままで良いのか…ということも、
再考する必要があるのではないでしょうか。
まず、お墓はなぜあんなに大きいのか。
おそらく、埋葬の習慣が始まったネアンデルタール人の頃は、
小さな石を墓標に置く程度だったでしょう。
時が流れ人間が文化を持ち始めると、
墓の大きさが文化や社会を示すようになりました。
「古墳」や「厚葬」と言われるように、墓が巨大化していきます。
このままでは、墓や葬儀の華美化に歯止めがきかないと、
大化改新で公布されたのが薄葬令。
以降、墓の大きさや形態は落ち着きますが、
そもそも人は墓を大きくしたがる性質を持っているのでしょう。
今の墓の形態は、江戸時代に定着したそうです。
仏教の影響もあり、石塔を建てるようになったと言われていますが、
それ以前は石塔は無かったそうです。
また、浄土真宗や日本海側の地域では伝統的に火葬がなされ、
石塔の建立も無かったそうです。
(ちなみに、江戸時代は土葬が一般的。)
墓の形態は、時代時代の埋葬文化によって、
変わっていくものでしょう。
墓の意義は死者に敬意を表し、
死後の世界での往生や再生、復活ができるように願う根源が変らないのならば、
必ずしも墓の形態を現在のような石材のモニュメントにする必要はないと思います。
まして墓石の不法投棄が起こるような時代なら、
尚更では無いでしょうか。