バスを降りると、仄かに杉の香りがする静かで不思議な空間。
標高が約1,000m程あるので、気温は低地より5度ほど低いでしょうか。
今年は猛暑だっただけに、ちょうど良い暑さでした。
周囲を見渡してみると、至る所に寺院があります。
むしろ寺院(とお土産屋)しかない、と言った方が良いかもしれません。
さすが修行の場として開かれた場所です。
さて、まずは腹拵えということで、近くの食堂に入りました。
食堂と言っても着席する前に弁当が準備されていて、
他の観光客も同様の弁当を食べていたので、おそらく選択肢は無いのでしょう。
中を開けてみると、精進料理でした。
左上から、漬物(キュウリ、味噌)、ごま豆腐、野菜の御浸し、
高野豆腐に昆布に雁擬きに山菜、漬物(桜漬け)、炊き込みご飯。
肉を一切使ってないですね。
これぞ正真正銘の「草食系」弁当。
カロリー低そうだ~。
(そういえば、お坊さんで太っている人をあまり見ませんな…)
さて味は如何ほどかと食べてみると、これが意外に美味しかった(意外は余計か)。
基本が私好みの薄味だったということもあります。
その上、薄味に一工夫があることが好感でした。
例えば、味噌汁にカボスが一切れ入れてあり、香り付けされている…など。
また、高野豆腐が美味しい。
子供の頃に冷凍食品で食べたものとは違いますね。
出汁が、美味しいのでしょうな。さすが本場です。
食材が限られた中での味付けの工夫が、素晴らしいですね。
しかし、若い衆はどうも馴染めない味付けだったようで、
弁当を残している方がチラホラ…。
カツ丼や鰻重の方が、良いのでしょうな。
(ま、一般メニューには俗な食べ物も載っている訳ですが…)
精進料理は、特に修行僧の食事でもあるので、
真言宗や天台宗の宿坊では修行体験の一環として振舞われることも多いそうです。
食材が制限されていて不味いイメージがありましたが、
調理次第では美味しいですね。本当に。
ま、修行僧が食べるものと、観光客が食べるものは、違うのだと思いますが。
…つづく。