本堂に入ると、既に坊主はスタンバイをしていて、
6時の梵鐘がなると同時に読経が始まりました。
読まれたのは、「理趣経」。
真言宗では、18会からなる「金剛頂経」の内、
読誦の功徳を強調する「理趣経」(第6会)を勤行で唱える習わしだそうです。
「理趣経」は、「十七清浄句」で男女の性行為や人間の行為を肯定している、
仏教の中でも大胆なお経の一つ…。
『男女交合の妙なる恍惚は清浄なる菩薩の境地である…』などと唱えているのだから、
普通の日本語で聞こえてきたら毎朝気恥ずくて仕方がないのではないでしょうか…。
ま、人間の行動や自然の営みは不浄なものではないと述べていることが、
「理趣経」のポイントなのでしょうけれども。
朝のお勤めを体験(見学)されている方の中には外国の方もいらっしゃいました。
しかし、宗教上の理由からでしょうか、焼香はせず。
私なんかが海外に行ってミサに参加したら、
躊躇なく十字を切って「アーメン」と言ってしまいますけどね…。
それにしても、高野山は立派な文化が根付いている観光地。
海外の方は日本の文化を知るためにこられているのでしょうけれども、
英語の解説などがほとんどないので、あまり良くわからないかもしれません。
もう少し海外の方に対する配慮があっても良いのかなと感じました。
一般の日本人にも、寺院や仏教に関して説明が足りないとは思いますが。
(許可を取って本殿内内陣の写真を撮らせていただきました。
中央に大日如来、右に不動明王、左に弥勒菩薩。
弘法大師がいないと思っていたら、不動明王のさらに右側に祀られていました。)
お勤めの後、地下の納骨堂に案内してもらいました。
納骨堂も、静かで厳かな空間。
いくつかの納骨スペースの他に、何百という仏像や戒名が安置されていました。
個人的に寺院の方と話をしたことなのですが、このあたりの寺院の主な収入源は
「宿坊」に、奥の院に各寺院に割り当てられた「霊廟」に、「納骨堂」だそうです。
納骨堂は、檀家という形態ではなく、
全国からの希望を募って安置されているようです。
大スペースが●00万、中スペースが●00万。
…高野山ブランドですねぇ。
納骨堂のスペースは、それなりに埋まっていました。
弘法大師の近くに納骨できるのですから、信仰の深い方には有難い場所でしょう。
納骨堂は、3年で合祀するということです。回転もきいてそうです。
一般の寺院とはキャッシュフローが全く違いますね。
仏教寺院といっても、その在り方は様々です…。
そんなことを感じつつ、高野山を後にしました。