「無縁社会」とは何か。
それは人々との縁が希薄化して個人が孤立していく社会のこと、
または、それに伴って起こる社会問題のことを指します。
「縁」とは主に3つ考えられ、家族や親族とのつながりである「血縁」、
地域のつながりである「地縁」、そして仕事場でのつながりである「社縁」です。
主に高齢者の社会問題として考えられていますが、
今では雇用不安から若者の問題としても考えられているようです。
無縁社会は、葬儀と無関係ではありません。
人々が無縁化するほど、安易な直葬や小型葬が増加します。
会葬者が減ることは、売上単価の減少につながります。
そもそも会葬者の減少は、都心部では数年前から葬儀社経営を悩ます課題でした。
それを考えると、無縁社会の兆しは既にあったと言えるでしょう。
今は、無縁社会に悩む人口増え、その影響が表に現れ始めていると言えます。
比較的大手の葬儀社では、地域コミュニティ活性化の催しを開いて、
地縁を取り戻そうと活動している所も散見されます。
しかし、現時点では社会の大きなウネリには対抗できていないようです。
NHKの特集を見ながら、無縁社会に関して考えていました。
無縁社会は、今の日本の抱える複合的な課題(雇用・地域・家族)が絡んでいるから、
なかなか一つの対策や方法では解決が難しい問題です。
とりわけ、雇用需要(景気)の問題は重要でしょう。
お年寄りが必要なくらい(引退後に非常勤で雇われたり)雇用需要が見込めれば、
自然と「社縁」はできてきます。
しかし、不景気で活力も尽きかけている今の日本に、
雇用増を見込むのは現実的ではありません。
そもそも好景気の時代に、働き盛りの世代が仕事を都心部に求めて集中し、
一方で田舎と呼ばれる諸地域は核家族化していきました。
住宅が集中した都市近郊のベッドタウンでは、
どこの県とも分らない者が坩堝になっているのでご近所付き合いも煩わしく、
地縁が減少するのは自然の流れでした。
好景気の頃は、この状態でも会社とのつながり(社縁)が強いから生きていけます。
しかし不景気になると、会社とのつながりが無くなる人が増えてくる…。
それにも関わらず、血縁や地縁は好景気の時のまま薄れているから、
自然と「無縁」になってしまう人が増えるのでしょう。
景気が悪い中では特に、新しい「縁の再構築」の在り方が、
社会全体で考え直す必要がありそうです。
先日、中国大連に行きました。
中国は現在、成長率10%前後の活気にあふれた好景気の国です。
国全体が成長の勢いに乗り、乗り遅れるなとばかりに人が蠢いている…。
縁というものを気にしている訳ではないと思いますが、
自然と人と人とのつながりも出来ているようでした。
不景気の日本は、自分の生活のことで精一杯で、
仕事は少なく時間は余っていても、逆に周りの事が見えていないのかもしれません。