日本には、寄付の文化がほとんどありません。
それでも、寄付白書によると2009年の個人による寄付額は、
総額5455億円だそうです。結構な金額です。
一方で、アメリカの個人による寄付額の総額は18兆5000億円だそうですから、
アメリカと比較すると人口差をみても日本の寄付は少ない部類でしょう。
日本の税制度を見ても、日本に寄付の文化が薄いことがわかります。
昨年の産経新聞の記事を引用すると、
---(以下引用)
2003年に大賀典雄氏がソニーの会長を辞めるときに、
音楽ホールの建設のため16億円の退職金を軽井沢町に寄付しようとしたが、
税制上の制約から、税金分4億円を差し引いた12億円しか寄付ができなかった。
---(以上引用)
寄付活動を推奨する多くの国では、特定の団体・機関に対する寄付を
非課税としたり課税控除の対象とする制度を設けています。
しかし、日本では裕福な人が寄付をしようとしても、
税制面で自由に寄付しにくいという現状になっています。
(だから、敢えて匿名の寄付なのかもしれません)
寄付は善良な行為で、その善意自体は尊いものです。
また、一般に貧富の差を埋める社会的役割を担うものです。
しかし、寄付を促進するような社会制度が、
貧富の差の縮小につながっているかというと、実はそうとも言えません。
アメリカを見てみると、制度的にも寄付文化が進んでいるものの、
日本に比べて貧富の差を示す「ジニ係数」が高いです。
税金が政府での資源の再分配なら、寄付は個人での再分配といえますが、
現時点では、政府が主体的に再分配を行った方が、
資源の流れが偏らず、貧富の差を少なくするには良いのかもしれません。
日本では、税金的にも、何らメリットが無い今の社会制度だからこそ、
寄付の善意は一層尊いでしょう。
色々と寄付にかかわる日本の体制に問題もあるのでしょうが、
まずは寄付の善意に対して、寄付をしてくれた相手に対して、
何らかの形で敬意を示せるようになればとも思います。