以下、2007年と2010年の「葬儀についてのアンケート調査」に関して、
【(実際に施行した)葬儀の場所】と【葬儀を行う望ましい場所】の
調査結果を引用します。
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【(実際に施行した)葬儀の場所】2007年
・葬儀専用の式場 | ・・・64.9% |
・寺、協会 | ・・・15.6% |
・自宅 | ・・・12.7% |
・町内会、自治会などの集会所 | ・・・5.1% |
・その他 | ・・・0.5% |
【葬儀を行う望ましい場所】2007年
・葬儀専用の式場 | ・・・67.6% |
・寺、協会 | ・・・10.8% |
・自宅 | ・・・9.8% |
・町内会、自治会などの集会所 | ・・・5.7% |
・その他 | ・・・4.5% |
【(実際に施行した)葬儀の場所】2010年
・葬儀専用の式場 | ・・・74.8% |
・寺、協会 | ・・・9.5% |
・自宅 | ・・・8.8% |
・町内会、自治会などの集会所 | ・・・2.7% |
・その他 | ・・・2.7% |
【葬儀を行う望ましい場所】2010年
・葬儀専用の式場 | ・・・69.7% |
・寺、協会 | ・・・8.9% |
・自宅 | ・・・10.3% |
・町内会、自治会などの集会所 | ・・・4.5% |
・その他 | ・・・5.0% |
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このデータから、2点の考察をしたいと思います。
①この3年間、「葬儀専用の式場」での葬儀が10%増えた
【(実際に施行した)葬儀の場所】のデータ(2007年と2010年)を見てみると、
「葬儀専用の式場」の葬儀が10%も大幅に増えています( 64.9% から 74.8% )。
一方で、「寺、協会」「自宅」「町内会、自治会などの集会所」が、
およそ「葬儀専用の式場」で増加した分、減っています。
この3年間は、葬儀専用の式場への移行が大幅に進んだと読み取れます。
②今後は「葬儀専用の式場」が減り、
「自宅」「町内会、自治会」「その他」が微増していく傾向か。
次に、2007年と2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】を比較して見てみます。
2007年
項目 | 【(実際に施行した)葬儀の場所】 | 【葬儀を行う望ましい場所】 | 差 |
葬儀専用の式場 | 64.9% | 67.6% | +2.7% |
寺、協会 | 15.6% | 10.8% | -4.8% |
自宅 | 12.7% | 9.8% | -2.9% |
町内会、自治会などの集会所 | 5.1% | 5.7% | +0.6% |
その他 | 0.5% | 4.5% | +4.0% |
2010年
項目 | 【(実際に施行した)葬儀の場所】 | 【葬儀を行う望ましい場所】 | 差 |
葬儀専用の式場 | 74.8% | 69.7% | -5.1% |
寺、協会 | 9.5% | 8.9% | -0.6% |
自宅 | 8.8% | 10.3% | +1.5% |
町内会、自治会などの集会所 | 2.7% | 4.5% | +1.8% |
その他 | 2.7% | 5.0% | +2.3% |
まず、上記の表ですが、【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】を並べて、さらに、それらの差を載せました。
それぞれ数値のサンプル数が違うので正確な比較ではないですが、
一つの目安として、この数値の差が少ないほど健全な状況と言えます。
(業者からの提供される葬儀の場所(供給)と顧客のニーズ(需要)がマッチしている)
しかし、数値に差があれば、現在の葬儀の状況に不均衡があると言えます。
例えば+に差であれば、現状より顧客の要望が高いため、
その後の葬儀の施行も増えていくことが考えられます。
逆に-に差があれば、今後の葬儀の施行は減ってくると考えられます。
実際、2007年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】の差を見てみましょう。
・葬儀専用の式場 | +2.7% |
・寺、協会 | -4.8% |
・自宅 | -2.9% |
・町内会、自治会などの集会所 | +0.6% |
・その他 | +4.0% |
町内会、自治会などの集会所を除いて、この差が、
2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】に影響していることが分かります。
差が+の項目は、2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】を伸ばしていますし、
差が-の項目は、減らしています。
つまり、顧客の葬儀場所に対する要望・ニーズが、
時間とともに実際の施行にも反映されていくことが分かります。
それで、2010年の【(実際に施行した)葬儀の場所】と
【葬儀を行う望ましい場所】の差を改めて見てみましょう。
・葬儀専用の式場 | -5.1% |
・寺、協会 | -0.6% |
・自宅 | +1.5% |
・町内会、自治会などの集会所 | +1.8% |
・その他 | +2.3% |
となります。2007年の差の内容と、異なっています。
今回は「葬儀専用の式場」が大きく-に差が出て、
「自宅」、「町内会、自治会などの集会所」「その他」が僅かながら+に差が出ています。
つまり、これからの葬儀は「葬儀専用の式場」が減ってゆき、
「自宅」、「町内会、自治会などの集会所」「その他」が増える可能性があるということです。
家族葬と呼ばれる近親者による少人数の葬儀が増え、
会葬者が減ると、自宅で葬儀が出来ると考える人がいてもおかしくありません。
また、会館での葬儀の反動として、縁のある自宅や集会所で葬儀をしたいと思う人が
いると考えても、特に不自然な感じはしません。
もちろん、急に自宅や町内会での葬儀が伸びることありません。差も僅かですし。
しかし少なくとも、葬儀専用の会館さえあれば、
顧客を呼べた時代は終わりを告げそうです。
「自宅」や「集会所」にある+の要素を付加価値として取り入れていくことが、
今後の葬儀会館の課題になってくるのかなと考えています。