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2011年04月01日

何をいまさら2・・・(井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

昨日の続き。
通夜当日、本来なら100万のお布施を払ってもらって終わりなのだが・・・
現実は、そう思い描いていたように甘くいかないから人生は面白い。

通夜の席で、例の僧侶が挨拶をしている・・・まあ、宜しくお願いしますということだ。
年老いた親戚のオジサンやオバサンも遠巻きに見ていたが、
時間が経って少しずつ皆さんとお話をするようになると・・・
この僧侶は大変気さくで、小さい子供のあしらいも上手い。
そして、色んな相談にも気軽に乗ってくれる。
例えば自宅の古くなった仏壇の買い替えの時期と処理の問題や
本来なら合祀しなければいけない先祖の戒名の事柄や、
納骨堂やお墓の問題についての問題や、宗教上のちょっとした疑問なども・・・
彼らからしてみれば、良き相談者が見つかったという思いだろう。
大変気に入られたというわけだ。
そうこうしているうちに話の方向が少し違ってきた。
僧侶は意識しているのだろうと思うが、この頃、ちょくちょくある話であった。
お布施の額を100万と決めていただいたけれども、
親戚の者たちとも相談して、150万でお願いしたい・・・と、
但し戒名は、もうワンランク上を希望する、というのだ。
僧侶の人柄に惹かれた部分が大きいと思う。

さあ問題発生である。
僧侶のやろう、ケチな営業努力をしやがるから処理が難しい。
「ちよっと葬儀社様と相談させてください」と遺族に言いやがった。
もう理解できる人がいると思うけど、
仕組みとしてお布施の分配は、葬儀社:僧侶:派遣事務所で4:4:2と決まっている。
だからこそ前日にお布施の額を決定し、戒名も決定し、
派遣事務所にも文書でそれらを報告し、
事前に僧侶に渡す領収書だけは会社から貰って現場にいるのだ。
「葬儀屋さん、ちょっと」
「(ちよっとじゃねえよ・・・と思いつつ)はい」
「相談なんですが・・・」
「(来ると思ったよ)・・・」
「色々と説明も難しいし、どうでしょうか・・・会社への提出資料やお布施のキックバックはそのままということで・・・」
「・・・どういうこと?」
「・・・そうですねえ、今から領収書を書き直すのもちょっと・・・」
「えっ、何でですか?」
「だから金額が増えた分の50万円は、その・・・報告しないでもらいたいのですが」
「どうしてですか?」
「・・・申し上げにくいのですが、私とあなたで50万を折半しませんか?」
「はあ???」
「誰にも分からないことですし、遺族は十分納得済みですから・・・」
「・・・」
場所柄、怒れなかったが
心の中の声は、(詐欺師か手前は、契約違反だぞぉっ!)

私は残念ながら??、会社への背信行為はしなかったけれども、
こうやって会社を辞めていったスタッフが沢山いたのだ。
いずれ、バレルから。
それにしても僧侶は、当時はまるで詐欺師か・・・と思っていました。
この新聞記事では、僧侶が葬儀社にいじめられているというような展開だが。
なかなかどうして、色んな僧侶がいるものです。
――人間だもの――

葬儀業者、僧侶から「仕事紹介料」お布施の4割の例も

あれから25年ほど経っているのに、今になって朝日新聞に掲載とは・・・。
葬祭業界はどうなっているのでしょうか。


それでは第一部の後半編がスタートです。
第11話 前半・後半

大学を卒業して、太も哲也も社会人になりました。
さて、どうなることやら・・・



投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年04月01日 08:00

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