心づけとサービス料は、
人的サービスに対して支払われる対価という点では似ています。
違いがあるとすれば、それを帳簿に記録するかしないか・・・でしょうか。
正確には、心づけも雑収入として記録しなければならないのですが。
ちなみにアメリカでは、チップに対して課税があるそうです。
従業員は雇用主に報告義務有り、また、源泉対象にもなっているそうです。
ペナルティ等の制度も厳しいみたいで、
単純なポケットマネーにはならない仕組みです。
一方で、日本の心づけに対しては、厳格な税制度はないでしょう。
そもそも、日本では「サービス」=「無料」のイメージがあります。
販売店で「サービスしときますから」と言われたら、
無料で何か貰えるのだと思うのが普通でしょう。
(英語では、このような使い方で「サービス」という単語は使いません)
日本では、モノに対してその対価を支払う習慣は根強いですが(祭壇料など)、
無形のサービスや働きに対する対価を払うという感覚は薄かった。
だから、人的なサービスに、気持ち程度の対価を示す意味合いで、
心づけが生まれたのだと思います。
ただ、それも今は昔の話となっていると思っていて、
現代ではモノではなく、無形のものに対しても対価を払うのが普通になっています。
例えば、CDも「円盤」ではなくデータで配信が一般的になりました。
ゲームも、「カセット」ではなくデータで配信するようになっています。
無形のサービスでも、そのサービスに価値があれば、
それに対して対価を払う時代ですし、そのように経済が回るようになっています。
最近では葬儀社でもサービス料を請求項目に挙げる所が出てきていますし、
サービス料として対価が認められている時代なのだから、
改めて心づけを支払うという感覚も、少し疑問に思います。
心づけという習慣が、無くなれと思っている訳ではありません。
葬儀だけでなく、引越しや結婚式などでも、
ありがとうの気持ちの表し方の一つとして有って良いのでしょう。
ただ、心づけがあって当然という感覚は、疑問に思います。
特に、火葬場では半強制的に心づけを求めるところもあると聞きます。
時代の変化に合わせた、徴収方法に変えた方が良いのではないでしょうか。
また、心づけはチップと違って「前払制」が一般的ですから、
火葬場で心づけを払わなければ、粗略に扱われるのではないかという怖さもあります。
より健全なサービス業としての在り方が、求められるようになると考えています。