ふと思うのは、私が綱渡りのプロじゃなくて良かったと思うこと。(思う?)
綱渡りのプロは命が掛かっているだけに「ミステイク」はしないでしょう。
しかし「スリップ」だけで命を落としてしまいます。
人間ならば、誰にだってスリップの一度や二度は経験しているはず。
その度に命を落としていたら、いくら命があっても足りません。
世界的に有名な綱渡りの軽業師カール・ワレンダーさん。
彼はセーフティネットなしで綱渡りをするなどして頭角を現しました。
また、家族で行う人間ピラミッドの綱渡り芸は、
4人で構成するものから、やがて3層の7人バージョンにまで発展。
名声を欲しいままにしたのですが73歳の時・・・
13メートルの強風の中、綱渡りを強行しバランスを失い墜落して死亡します。
「スリップ」だけで命を落としてしまいました。
それがこの映像(見たくない人は飛ばしてください)
こんなことに命を懸けてと思うのですが・・・理解不能です。
たった一つしかない命、大切にしましょう。
さて、私が葬儀司会で犯してしまったスリップは、
別に命を取られるほどのものではありませんが、それでも大変なショックでした。
暫くは、その原因を当時吸っていた煙草のせいにして禁煙したほどです。
(若い頃は、これが拷問に等しかった)
あるとても大きな社葬での出来事です。
ビデオ撮影も入って、絶対に間違えないでくださいと念を押されていました。
だが、預かった書類に明記された指名焼香の数は約120団体。
ちょっと普通じゃないよな・・・とは思っていましたが、やるしかありません。
過去に何度も似たような経験がありますから頑張るしかないと自分を奮い立たせます。
が、手元が狂ってしまいました。
スリップです。
ストリップではありません。
ストップでもありません。
(そんな余裕あるか)
120名の肩書・社名・氏名と読み続けている内に集中力が切れた・・・のかも。
飛島建設を飛鳥建設とつい言ってしまい、
慌てて訂正しましたが・・・ミスはミス、関係者に頭を下げ、
オマケにビデオ撮影の関係でオンリーを撮りに態々スタジオにまで行きました。
自分の目で、とびしま (飛島)建設としっかり追いながら、
自分の口からは、あすか(飛鳥)建設と口に出しているのです。
勿論、自分の口から出た言葉はすぐに自分の耳で確認しますから、
その声を聴いた刹那、何? 何で?という思いと共に絶望感が押し寄せました。
タイムマシーンで過去に戻れるものなら戻りたい。
「一体どうしたものか」突然の驚きの瞬間
「大変失礼いたしました、とびしま(飛島)建設・・・」と
続けたのですが動揺は隠せません。
その後は指名焼香のご本人をはじめ関係者に誤り倒して事なきを得ているのですが、
誰にでもスリップというヒューマンエラーは起こりうるものでしょう。
(あー恐ろしい、思い出すだけでもちょっと恥ずかしいくらいです)
今でも失敗の記憶が強く残り、上手く行った司会の記憶は残りません。
葬儀の司会って・・・そんなものかもしれません。
スリップを止める方法があったら知りたいです。