ＭＣプロデュース

本を読んでハッとしたのは、
「ディズニーでは、部下が上司に注意することがある」という点。
ディズニーランドのビジョンやミッションから外れた行動をした場合、
例えそれが上司であっても、即座に注意をする文化があるということです。
上司を敬う傾向の強い一般的な職場ではなかなか考え難いことですが、
これはスタッフのモチベーションの目安の一つになっていると感じました。
人間関係よりも、仕事（顧客）を重視しているということですから。
ただ、企業文化としてそのような『空気感』が無いと、
スタッフのやる気が空回りして、浮いているように見られかねません。
適切な社内の空気作り（企業文化）が、何より大切でしょう。
しかし、やる気のある社員が活躍できる企業というのは、
当たり前のようですが、なかなか難しいことです。

「サービスの標準化」という言葉があります。
サービスの標準化は、顧客に対してどの従業員が応対しても、
一定の安定したサービスを提供できるよう従業員の共通性を多く持つようにすることです。
Ａさんが葬儀の施行をしても、Ｂさんが施行をしても、
顧客が受ける葬儀の質をほとんど変えないようにすることが「サービスの標準化」です。

ある日、Ａさんが写真を使ってＤＶＤを作成できるスキルを身に付けたとします。
この場合、Ｂさんも同じようにＤＶＤを作成できるように教えてもらって、
サービスの質を上げて標準化していくことが健全な企業活動です。
しかし、「ＡさんはＤＶＤを作成できるけど、スタッフ皆ができる訳ではない。
まだＤＶＤの作成をサービスに取り入れるのは早すぎるのではないか・・・。」と、
現状維持の方向でサービスの質を保つようにするＢさんもいると思います。

この場合、Ｂさんの「やる気」に問題があるのかもしれません。
しかし、Ｂさんにも事情があるでしょう。
現在の仕事で十分忙しい、時間が無い、他の仕事が雑になる…など。
一方で、企業としてＡさんのやる気を削ぐようなことになると、
サービスも停滞します。組織も活性化しません。
結局、なかなかサービスが向上していかないという状況は、
案外少なくないのではないでしょうか。

競合が現れて顧客を取られだしたら、危機感も芽生えるでしょう。
Ｂさんも否が応でもスキルを身につけなければ食べていけません。
逆に、現状維持で施行件数が伸びている時こそ、やる気の管理は難しい。
個々の頭では理解できても、企業の体質を変えることは時間が掛かるからです。

企業の体質は変え難いという意味では、従業員を見れば、
トップの力量を推し量ることができるともいえそうです。