本題に戻りましょう。
昨日は、仏教離れが進んでいる傾向が読み取れると書きましたが、
今日は、寺院の持つ危機意識や内情に目線を向けます。
●寺院運営の困難時における寺院合併に関して
まず、寺院運営の困難時における寺院合併に関する調査ですが、
目をひくのは、農山漁村の寺院の方が、
「合併すべきである」の回答が多い傾向にあることでしょう。
つまり、農山漁村の方は既に寺院運営に非常に苦労されていて危機意識が高い、
合併もやむなしと考えている住職が多いということではないでしょうか。
また、今回グラフでは載っていませんでしたが、
『20年後の寺院護持の見通し』という調査がありました。
そのアンケートでは、農山漁村の住職は、
「護持・運営は厳しい」(57.4%)、「まったく護持・運営できない」(17.4%)と、
凡そ7割が悲観的な見通しをしていました。
●住職と前住職の続柄
住職と前住職の続柄に関してですが、これは興味深い調査内容です。
沖縄は例外として、気になるのは東京。
東京では「住職は初代」が14.8%と、他県と比べて目立を惹きます。
浄土真宗では伝統的に世襲制が基本と書かれていますが、
東京での開教の盛んさがうかがえます。
●住職後継(予定)者の現在の仕事
最後に、住職後継(予定)者の現在の仕事に関して。
注目する点は、これも農山漁村の寺院ほど、
寺院の事務・法務に従事している人は少なく、
多くの人が寺院以外の職業に従事しているということ。
農山漁村の地域ほど、寺院の運営だけでは食べていけない。
そういう傾向の表れています。
第9回宗勢基本調査を見てみると、
特に農山漁村の寺院運営の苦しい現状が表れており、
未来に対しても悲観的な様子が伺えました。
仏教離れを防ぐことが根本的な解決になるのでしょうが・・・。
本山の求心力は低下していそうですし、個々の寺院の努力次第なのでしょうが、
なかなか解決の糸口が見えてこない状況のように思います。