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2011年11月09日

火葬場にて(工場長こと古家寛)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

青森サポートの流れで、最後に火葬場をご案内いただきました。
こちらは市より指定管理を受けた火葬場ということです。
「指定管理者制度」は平成15年から始まり、業務の効率化、サービス水準の確保などを
目的に、公的機関から民間へ仕事を委託するものです。
平成18年には東京都が運営している都立の青山斎場が、
日比谷花壇を指定管理者として委託されましたが、
「官から民へ」の流れは今も続いているということでしょう。
参考:指定管理者制度の運用について(総務省)
参考:斎場に対する「指定管理者制度」導入の動向と留意点(日本総研)


火葬場は、ビジネス的に見ても優良です。
競合参入はほとんど無いですし、需要も安定しています。
(安易に価格を上げることもできませんが)
さらに、日本の火葬率は、ほぼ100%です。
日本人の心・精神には、火葬でなければならない何かが沁みついています。
東日本大震災の仮土葬で、火葬できなくて申し訳なさそうにする遺族の様子を見ると、
今後も日本における火葬の絶対的地位は、変わらないでしょう。

それゆえ、指定管理業者になれば薄利であれ安定して収入は得られます。
何より初期投資が必要ない。
他の地域でも、火葬場は指定管理化の流れがあるようですので、
チャンスをうかがっている業者は多いのではないでしょうか。

さて、こちらは10年前に建てられた火葬場ということですが、
中に入ってみると施設に古さは感じませんでした。
遺族がいたので、中で写真を撮るのは控えましたが、
東京の斎場と比較しても、清潔感、落ち着いた雰囲気は遜色ないでしょう。

火葬炉の裏側も見せていただきました。
火葬はほぼコンピュータ管理されており、
燃料は1体およそ60Lの灯油を使うそうです。
また、火夫さんは火葬の状況に応じて火力、部位を調整し、
綺麗な白骨になるよう監視しています。
細かい部分は、人の手に頼らざる得ません。

 

火葬後はこちらで火葬中に動いた骨を火夫さんが並べ直します。
火炉に入れれば自動で火葬されて出て来るようにみえますが、
裏側では火夫さんが火力や遺骨の位置を細かく調整してくれているのです。
そうして火炉から出てきた遺骨が、拾骨室に向かうという流れです。
今まで火炉の表側からしか火葬場を見たことがありませんでしたが、
火炉の裏側は、非常に勉強になりました。


話が変わりますが、ちょうど私が火葬場を見学させていただいている時、
80歳位の年配の女性の火葬が行われていました。
その火葬中、火炉の扉の前で、友人と思われる年配の女性がじっと座っていました。
何も言わずに、火炉の扉を見つめていました。
以前、Y先生が「火葬の火を見つめることに、火葬の原点がある」と
おっしゃっていたのを思いだしましたが、今ではその機会は失われています。
火葬中、遺族は控室で食事をしながら休憩して待っていたり、
家に帰るのが一般的でしょう。私が10年ほど前に経験した葬儀でも、そういう流れでした。

火葬が当たり前になっている時代だからこそ、
火葬とは何かを改めて見直しても良いのかもしれません。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年11月09日 08:17

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