では、カメラに向かってやる司会の事も書いておこう。
今ここに、NHK出版の「言葉のハンドブック」があるので、
「お」の付く言葉について紹介したい。
「お電話番号」という言い方はおかしくないかという質問が寄せられたことがある。
「お電話」は、だいぶ耳慣れたが「電話番号」にまで「お」を付けるのは、
行きすぎの感じがする。電話という「もの」には「お」が付きやすいが、
「番号」のような実体のないものは、「お」は付きにくいと言えそうである。
(もっとも尊敬語としての「お」を使った「お電話番号」はありうるだろうが)。
一般的に「お」は、日常生活で身近にあるものに付きやすいということが言える。
(焼香や浄土というが言葉が、これに当てはまるかどうかが問題だ・・・井手のコメント)
たとえば、「お茶碗」「おはし」「おなべ」のような道具類、「お酢」「お魚」「おかゆ」のような
食料品などがそうだが、この種の語は和語が多い。(私と同じ見解・・・井手のコメント)
しかし、全ての和語に「お」が付くわけではない。「お鏡」という人はまずいないであろう。
また、漢語には「ご」のほうが付きやすいと言われているが「お布団」「お電話」などの例もあり、
漢語だから「お」が付かないということはない。
一方、「お」を付けると不自然に感じられる言葉がある。よく指摘されるのが外来語である。
「おビール」は時々耳にするが、「おテレビ」「おワープロ」というと変である。
その他、「お」で始まる言葉にも「お」は付かないし、長い言葉にも付きにくい。
また、「お花」とは言うが「お桜」とは言わない。「お猿」とは言っても「お猫」とは言わないようだ。
褒め言葉でも「お上手」とは言うが、けなす時に「お下手」とは言わない。
(私はド下手というが・・・井手のコメント)
「お」を付けると不自然に感じるかどうかは、言葉により、人によりさまざまであるが、
「お」を使いすぎると、話の調子や文体にまで影響が及ぶことになるので
注意しなければならない。
初心者からの何気ない質問に答えるにしても、
これぐらいの事を言わないといけないのでテキストとして纏めてあるのだが、
結局、決まりがないというのが実情である。
それが、言葉だ。
言葉は、生きているから面白い。