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2011年11月25日

「お」と「ご」について (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

物事を丁寧に言う時の「お」や「ご」についての質問は多い。
そこで、初心者からの質問に対する形でテキストを用意してあるのだが一部を紹介する。
「お名前」に対して・・・「ご芳名」・「ご尊名」
「お所」に対して・・・「ご住所」
となるのが一般的だから、
「お」の後には「なまえ」や「ところ」という漢語系ではない言葉がくる。
(漢語に対して和語があり、和語とは元々日本にあった言葉である)
だから、理論的には「お焼香」か「ご焼香」か、と問われれば「ご焼香」だろうと。
但し、地域によっては「焼香」という言葉を漢語系ではなく、
あたかも純日本風的な感覚で捉えている時には「お焼香」でも構わないだろうと。
そして一番重要なことは、地域の言葉で司会をしないと、
生活感のない司会言葉になってしまい聞く人は付いてきてくれない。
また、お寺様が「浄土」や「焼香」に「お」を付けるのか「ご」なのか。
それも重要な問題である・・・というようなことが書いてある。
要するに、NHK的な言葉づかいでは、あるいは正しい言葉を使ったとしても、
必ずしも受け入れてくれるかどうかは分からないのだ。
要するに、相手の要望をよく聞いて取捨選択すべきものなのだ。
カメラに向かってやる司会とは自ずと異なってくる。

では、カメラに向かってやる司会の事も書いておこう。
今ここに、NHK出版の「言葉のハンドブック」があるので、
「お」の付く言葉について紹介したい。
「お電話番号」という言い方はおかしくないかという質問が寄せられたことがある。
「お電話」は、だいぶ耳慣れたが「電話番号」にまで「お」を付けるのは、
行きすぎの感じがする。電話という「もの」には「お」が付きやすいが、
「番号」のような実体のないものは、「お」は付きにくいと言えそうである。
(もっとも尊敬語としての「お」を使った「お電話番号」はありうるだろうが)。
一般的に「お」は、日常生活で身近にあるものに付きやすいということが言える。
(焼香や浄土というが言葉が、これに当てはまるかどうかが問題だ・・・井手のコメント)
たとえば、「お茶碗」「おはし」「おなべ」のような道具類、「お酢」「お魚」「おかゆ」のような
食料品などがそうだが、この種の語は和語が多い。(私と同じ見解・・・井手のコメント)
しかし、全ての和語に「お」が付くわけではない。「お鏡」という人はまずいないであろう。
また、漢語には「ご」のほうが付きやすいと言われているが「お布団」「お電話」などの例もあり、
漢語だから「お」が付かないということはない。
一方、「お」を付けると不自然に感じられる言葉がある。よく指摘されるのが外来語である。
「おビール」は時々耳にするが、「おテレビ」「おワープロ」というと変である。
その他、「お」で始まる言葉にも「お」は付かないし、長い言葉にも付きにくい。
また、「お花」とは言うが「お桜」とは言わない。「お猿」とは言っても「お猫」とは言わないようだ。
褒め言葉でも「お上手」とは言うが、けなす時に「お下手」とは言わない。
(私はド下手というが・・・井手のコメント)
「お」を付けると不自然に感じるかどうかは、言葉により、人によりさまざまであるが、
「お」を使いすぎると、話の調子や文体にまで影響が及ぶことになるので
注意しなければならない。

初心者からの何気ない質問に答えるにしても、
これぐらいの事を言わないといけないのでテキストとして纏めてあるのだが、
結局、決まりがないというのが実情である。
それが、言葉だ。
言葉は、生きているから面白い。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2011年11月25日 08:30

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