警視庁に「東京都暴力団排除条例」の制定についてというページがあります。
ここでは「暴力団と交際しない」ということを主軸に書かれていますが、
法要や葬儀が、警視庁の言うような暴力団の「交際」に当たるのでしょうか。
最も近いと思う項目に『祭礼等における措置』がありますが、一部抜粋すると、
『当該行事により暴力団の活動を助長し、または暴力団の運営に
資することとならないよう、当該行事の運営に暴力団又は暴力団員を関与させない
など、必要な措置を講ずるよう努めるようにする』
と書かれています。ここに例として挙がっていたのは、
花火大会や祭りの出店の元締め等から、暴力団を排除しようというものだと思います。
葬儀が含まれているようには感じませんでした。
また当該項目は、禁止項目ではなくあくまで努力項目です。
全日本仏教会の宣言では、「威力誇示や資金集めに利用される恐れのある法要、
葬儀等は拒否しよう」との事ですが、どの規模の葬儀を指すのか、
その線引きも良く分かりません。一般的な規模の葬儀は良いということでしょうか。
それとも、暴力団関係者の葬儀に関しては枕経から携わらない、
檀家からも外す…ということなのでしょうか。
そういうことではないとは思いますが、「暴力団による法要や葬儀を拒否する方針」
の詳細が全日本仏教会のホームページ等に書かれていないので、
現場の僧侶たちも、判断に窮する場面があるのではないでしょうか。
そもそも、宗教は政治等とは一線を画し、
仏教の訓えに準じた判断をするのがあるべき姿です。
暴力団か否かが、仏教の訓えに背反するところがあるのでしょうか。
浄土真宗の教義では、悪人正機という思想もありますしね…。
(悪人≠暴力団、悪人とは凡夫のことですが)
また、「威力誇示や資金集めに利用される恐れのある法要、葬儀等は拒否しよう」
という考え方ではなく、むしろ「資金集めに利用されないような葬儀のあり方に変えよう」が、
本来あるべき態度なのではないかと思うばかりです。
どうも現在の世相や制度に流されて、
仏教の本筋から外れているのではないか危惧を感じます。
仏教には歴史、根底に流れる人類の思想があるのですから、
本質を大切にしてもらいたいと願います。