現在の墓の形態は、江戸時代の檀家制度により寺院に集まり、
明治時代に施行された民法987条が規定したことで、
墳墓は家督が相続するものと考えられてきた。
人が墓のある土地で生まれ育ち死ぬような時代であれば問題なかったのだろう。
しかし交通網が発達し、高度成長により都会へ進出する若者が増加、
核家族化が進行して人々の住処は転々とするようになった。
檀家制度は崩れつつあり、併せて墓の継承の問題も表面化してきている。
一般的に、墓の承継が難しい状況になった場合、合祀という選択になる。
合祀とは祭祀の対象を合わせること、つまり複数の墓を纏めることである。
祭祀の管理者が合祀を選択することができるし、
墓の管理を放っておいても最終的に合祀されることになるだろう。
今後、既存の墓は合祀を選択されることが増えてくるのではなかろうか。
そもそも旧来の墓の制度は、人が墓のある土地にいて管理することが前提にあったが、
今は、そしてこれからも、そういう時代ではないだろう。
話は少し変わるが、先日機会があって、
「メモリアルリング」の商品案内を取り寄せた。
メモリアルリングとは、現在名称は様々(エターナルリングとか)だが、
遺骨の一部を埋めて加工した指輪のことを指す。
近年増加している手元供養の形態の一つと考えて良いだろう。
このリング形式の手元供養は、今後、現在の墓の在り方が崩壊した際、
供養の新しい方向性になる可能性がある。
カタログを見ていると、シルバーやゴールドやプラチナなど、
現在の宝飾品に合わせた素材が載っていた。
価格も、現在の宝飾品に合った価格帯だ。
シルバーやゴールドやプラチナは一見すると魅力的だが、
一般化するには多くの人に負担なく供給できる安価な素材、
価格帯が必要なのではなかろうか・・・。
話を戻すと、墓の管理の問題から、
改めて、樹木葬や散骨、また、手元供養といった埋葬の形が、
将来再びクローズアップされてくるだろう。
埋葬の形態は変わるかもしれない。
しかし、ネアンデルタール人の頃からある埋葬の心は、
不変であると信じたい。