この記事を読んでも感じることですが、
マスコミなどでよく見聞きする「生前準備」は、
「親の死」ではなく「自分の死」を考える点に特徴を感じます。
近年の「エンディング・ノート」ブームを見ると、
より一層、「自分の死」に注目が集まっているのかなという気もします。
自分自身の身辺整理や、子どもに苦労をかけたくないという親心もあって、
比較的高齢者が、自分の死について考える機会が多いのでしょう。
(生前準備とは昔からそういうものなのかもしれませんが。)
それでも、葬儀の生前準備は、縁起の悪い夏休みの宿題のようなもので、
できれば期限ギリギリまで手を付けたくない。
世間的にも、葬儀を計画的に準備する必要はありません。
また、突然葬儀の施行があったとしても、現代では葬儀のサービス化が進んでおり、
故人の尊厳を保たれた状態で葬儀ができる仕組みがあります。
死に臨む人が死の準備をする、ということも良いことでしょう。
一方で、喪主を始めとする葬儀を施行する世代(40~60代が多いでしょうか)に、
「葬儀」により関心を寄せてもらえれば、尚良いことです。
実際に、葬儀を経験して困ったこと・・・消費者協会のアンケートによると、
「葬儀の手順が分からなかった」、「通夜・告別式の接待の仕方や手配」などは、
よく上位に挙がります。これは、死に臨む人が準備しても解決されません。
葬儀を施行する世代が、ある程度の意識して習おうとする姿勢が必要です。
昔は、地域の葬儀の手伝いをする中で、葬儀の手順などを体得する機会がありました。
今は、葬儀社がサービス業として代行することが増えてきています。
葬儀の手順などを、一般人が知る機会は、ますます減ってきているでしょう。
機会が減った分、喪主世代が積極的に葬儀の「生前準備」をしないと、
葬儀の時に困る(もしくは後悔する)ことがますます増えるのでは・・・と思います。
「葬儀の手順が分からなかった」、「通夜・告別式の接待の仕方や手配」という不満は、
喪主となる世代自身が、葬儀の準備を満足にできていなかったことに対する、
裏返しの結果であるような気がします。
上手な葬儀社の担当者は、そのあたりも丁寧にサポートしつつ、
不備の無い葬儀施行ができるのでしょう。
ある葬儀社では、事前相談会において、
「喪主の一日体験」をイベントとして行って好評を得たと耳にしました。
良い試みではないでしょうか。