当日朝に東京から駆けつけた20名程のメンバーと、
仙台市宮城野区蒲生地区に向かいました。
寺院は海岸から2キロ程の場所にあります。
海の方を見ると海岸線近くに家がありますが全部津波にやられていて、
住んでいる人はいないそうです。
この景色は、昨年とまったく変わりはありませんでした。
この地域は、テレビなどではほとんどその状況は伝わって来ませんが、
やはり大変な被害を受けました。
昨年伺った時にはその被害の甚大さに、私は写真も撮れなかったほどです。
この寺院の本堂も庫裡も当時は大きく壊れていて、
床下に入り込んだヘドロのかき出しが昨年の主な作業でした。
本堂裏にある墓地もほとんどが倒れていました。
現在はこれでも随分修復されたようです。
津波の襲来で山門はもちろんのこと鐘楼の屋根も全部破壊されました。
親鸞聖人の像も波の力で笠は曲がり像全体も大きく後ろに傾いています。
あれから1年以上経って、
住職はじめ皆さんの大きな努力で庫裡や本堂はとってもきれいに修復が進み、
神聖な空気が満ちていました。私たちは午後の常例法話会の後、
1時間にわたり仏教讃歌の数々を歌わせていただきました。
実はこの時本堂の横のお部屋に、ある方のご遺体が安置されていました。
坊守さんに伺ったお話ですと、故人は30代の男性だそうです。
奥様、小さな息子さん2人、奥様のご両親、
奥様のお腹の赤ちゃん6人を津波で亡くしたそうです。
ご本人は震災後1年間、頑張って、頑張ってきたそうです。
もちろん周りの皆さんもとても支えたそうです。
しかし遂にこの日の前日、自ら命を絶たれてしまいました。
そのお話を伺った時、私は胸が詰まりました。
どうしようもなく悲しい気持ちになりました。
ご本人はもちろんのこと、支えてきた周りの方々の気持ちを思うと、
とても辛いです。
ご本人は、どうしても家族の元に行きたかったのでしょうね・・・。
私はこの日の仏教讃歌をこのご家族のために歌いました。
「お浄土に、届け!届け!」と、一心に歌いあげました。
阿弥陀さまのひかりを こころにあびて
きょうの日もやすらぎに みたされてゆく
わけへだてない慈悲は 雨より多く
山のようにひろがり すべてをつつむ
金樹 銀樹 瑠璃樹 美しく揺れて
願いとどくときは 蓮の花が咲く
「ひかりあふれて」詩 原真弓 仏教音楽研究所発表
そのような方を一人でも無くすために「お茶会」の活動は大切なのですね。
只、傍らに黙ってでもいいから寄り添って、
「あなたは、ひとりでは無い」という思いを伝えるために、
これからも被災地へのささやかな活動を続けて参ります。
南無阿弥陀仏