全国を周ってみれば、葬儀は各地で様々な特色があります。
長い歳月をかけて、地域の風土を巧みに取り入れ発展してきた証なのでしょう。
人生と葬式は切っても切れないものなのだと、つくづく思いますね。
その辺りお話を聴くのも、見るのも楽しい。
(海辺の葬儀・海岸でのお葬式)
この写真は四国の参加者から持ってきていただきました。
(ありがとうございます、菊〇〇秀様)
海辺でする葬儀なんて、見たことないんじゃありませんか。
数年前には、この地方でも終焉を迎えたみたいですが、
補陀落浄土信仰の名残じゃないかと思われます。
海に近い土地柄や港がある地域では、全国に補陀落浄土信仰が点在しています。
それにしても、雨の日も風の日も、それこそ台風の日も、
はたまた熱射病になりそうな暑い日も、海岸で葬儀とは…
写真は6尺の5段祭壇…ごく普通の祭壇ですからね。
地域によっては、4尺祭壇や3尺の3段祭壇などもありますが…
遺族も僧侶も会葬者も葬儀社も…準備だけでも大変だあ。
日本は狭いようで、広い!
そういえば、関西圏の葬祭会館でたまに見かけるのが、
会館の入り口で、箒を逆さまに立ててあるやつ。
関東では、この光景はまず見ませんね。
また、名古屋辺りでの通夜の会食も滅多に見ないけど、代わりに配っているのは助六。
何故、助六寿司なのかは未だに不明なのですが、
助六さんは吉原の花魁(おいらん)揚巻(あげまき)の愛人で侠客。
江戸庶民のヒーローです…というのは歌舞伎の世界…関係ありそうです。
全国の庶民が、葬儀の際に甘いものを欲しがるのは貧しかった時代の共通点ですが、
地域によって甘さのレベルが違います。
日本海側、特に石川県や福井県を中心にその周囲はどら焼き、という特徴があります。
それも物凄く大きいタイプの大どら焼きを出す地域は、
食いきれないほどの贅沢をしたということでしょう。
所謂、葬式饅頭のことでしょうか。
所変われば、品変わるですね。
納棺に纏わる作法も全国では色々。
首都圏でも、神奈川県の一部の地域では納棺の前に豆腐を食したりします。
豆腐を頂く前には、湯呑み茶碗で日本酒を飲みます。
このパターンは全国にあるようです。
青森県(の一部ですが)では、酒の注ぎ方が面白く、態々(わざわざ)敷居を跨いで注ぐ。
これはとても失礼なことですが、敢えてやるのでしょう。
弔事の非日常パターンでよくある例ですね。
葬祭ディレクター試験でも出題されたことがある過去の問題に、
「魂呼び」の問題が出題されたことがありますね。
死者の枕元、あるいは屋根に登って、井戸や海に向かって、死者の名を呼ぶ習俗。
「タマヨバイ」「ヨビカエシ」等とも云います。
不思議な習慣ですよね。
「ミミフサギ」は、餅などで耳を塞ぎ死の知らせを聞かないようにする習俗。
死者と同年齢の者は死の穢れに染まりやすいということから。
その時の「餅」…これも各地で使われますね。
餅のつき方にも色々と説があるでしょうが、一般的には軒下でつくことが多いのかな。
非日常のつき方ですから、お天道様の下ではつけません。
あ、そういえば「逆さ屏風」を裏表に飾っている葬儀社があって、
笑ったことがありましたが…「それだと、逆さ屏風じゃなく、裏表屏風だよって」
50何回目の講習会なのか? 不明になってしまいましたが、
今年で16年目を迎える葬祭ディレクター受験対策がスタートしたのは事実です。
明日は、受講生の皆さんの頑張っている様子を載せます。
では。