「忘れられる権利」は、具体的には、個人からの正当な理由で削除要請がある場合、
検索サービスやサイトの管理者は、その情報を削除しなければいけません。
例えば、一般人の場合でも、「10代の飲酒や喫煙」の写真が、
実名と共にインターネットで晒されることがあります。
これらの情報は、就職活動や社会生活において不都合となりえますが、
検索サービスやサイト管理者に要請すると、削除してもらうことができます。
罰則規定も設けられていて、管理者側が削除要請に求めに応じない場合は、
50万ユーロ(5000万円)の罰金を科すこともあるということです。
もう1つ特徴的なのは、最初に情報が公開されたサイトだけではなく、
それをコピーされたサイトに対しても削除要請できるという点です。
検索エンジンの結果として出てくるようになったら、
検索サイトに対しても情報の削除を求められます。
コピーのサイトに対しても、罰金規定があります。
一方、どこまで「忘れられる権利」が認められるべきかというのは、
まだその線引きは手探り状態のようです。
スペインでは、かつて過失を犯した93人が情報の削除を要求しました。
この訴えに対し、グーグル社は「報道の自由に対する検閲であり、
社会の利益を損ないかねない」と主張しました。
この裁判は、スペインの裁判所では結論が出ず、
EUの司法裁判所で現在も係争中ということです。
日本でもフェイスブックをはじめ、情報のオープン化が進んでいます。
一方で、そこから生まれる弊害に対する法整備は、まだ不完全な印象です。
(著作権保護に関しては、法整備が進んできているでしょうか。)
何かをキッカケにインターネット上でプライバシーが侵害されると、
その記録はなかなか削除できない(してもらえない)のが、現状です。
そもそも「プライバシー」という権利に対する日本語が無い・・・という時点で、
その種の権利に対する概念が日本では薄いと考えるべきかもしれません。
お国柄というか、村社会的な日本の歴史も影響しているでしょう。
欧州での法適用は2年後からのようです。
日本でも、欧州の法制度を輸入する形で、
「忘れられる権利」の概念が少しずつ浸透していくでしょう。
・・・「忘れられる権利」という言い方が、如何にも日本語訳という感じですが。
また、
実社会では「無縁社会」で「近隣との繋がりを大切にしよう」という流れに対し、
ネット上では「過剰な情報共有を規制してプライバシーを守ろう」というのも、
何とも変な感じです。