残念ながら、この夜話したことは実現に向けて少し時間がかかりそうである。
しかし、そのために費やした時間は決して無駄にはならない。
少なくとも、いずれはテキストに書き加えられるであろう。
翌日からの二日間の講習会は、毎回お世話になっている盛岡の葬祭ホールで開催され、
参加人数が少数に限定された内容の濃いものになった。
このホールは、一階と二階を繋ぐ螺旋階段が特徴的である。
そして二階のフリースペースには、
天井と一階を直接結ぶ採光スペースがガラスの空間で仕切られ、
何とも言えない雰囲気を出しているのだ。
その一角にある部屋で講習会が執り行われた。
今年も、受講者の1、2級のバランスがあまり良くない。
極端にどちらかが多くなることがある。
講座を進める意味では少し困るが、自然なことだから意識はしないようにしよう。
受講する側から見れば当然なことだから。
初日が終了すれば皆さんと食事に出かける。
アルコールの勢いも手伝ってか様々なお話をしていただける。
普段、私は話しにくいのかなと思ってしまう。(反省)
飲んだ勢いでも何でもいいが、
これは地方の葬儀の実態を知る上でとても貴重な時間である。
例えば県内のある地域では、
法要の食事の前に「おちつき」といって、「もち」と「うどん」を食べる習慣がある。
そもそも岩手県内の一人当たりの法要の食事にかかる料金は非常に高い。
葬儀の際、先に参列者が入場し、その後遺族が行列して入場することがある。
通夜の際、お見舞いを出す地域もある。(全国的に多いけど)
火葬は葬儀の前だが、火葬から葬儀までに2~3日を要し、
その間、所謂「百万弁念仏」が行われる。
「手付人」と呼ばれる入棺に従事した人の話や、
お棺の上に「はやが(編笠)」と草履一足半を置いて火葬・埋葬する。
忌の分散だろうが、男が二人一組で死亡の知らせにまわる。
近年、学科試験にも出された「タマヨバイ」や「ミミフサギ」にも通じるような話は、
それぞれの地域に伝承として残っていて興味深いものがある。
様々な人からお話を伺いたいのだがタイムリミットがあるのが現実だ。
明日も講習会は続くのでも、ほどほどにしましょう、
余談だが、稲庭うどんと長崎五島列島のうどんは非常に似ているような気がする。
ルーツが同じではないかと感じるのだ。
五島列島のうどんは椿油が塗ってあり絶対に延びないのだが、
そもそも九州のうどんは腰がないのにおかしいなと思っていた。
日本海側に共通する、何かがあるのではと思う。
同様に、地方に点在する葬儀の習俗もエリア別に共通点がある気がするのだ。
また別の機会に紹介したいが、ルーツが同じでは、と思うものが多い。
葬祭ホールのエレベーターの前に「成年後見制度のご相談」と張り出してあった。
これは試験では絶対に覚えなければいけない制度である。
テキストでは「法定後見制度」と「任意後見制度」に分けて表を作り出している。
判断能力が十分ではない人、現時点では判断能力に問題がない人。
などど、ズラーと書き出してあって、覚えやすくしているつもりである。
同様に、カトリックとプロテスタントの比較、仏教と神道の比較etc…。
整理はしてあるので頑張って覚えてもらいたい。
それでは皆様、大変お疲れ様でございました。
この葬祭会館には、皆様の先輩A 氏が大変優秀な成績を取ったことがあります。
現在のディレクター試験は点数が返ってくるので、合格者にも色々とあるのですが…
A氏のように優秀じゃなくても結構ですから、一人でも多くの方が合格してください。
期待していますよ、頑張ってください!