「金融緩和」とは、聞いただけでは良く分からない言葉です。
私の理解では「日銀が金利を引き下げて市場にお金を供給しやすくする」ことです。
また、それに伴い貨幣の発行量も増えます。
貨幣の発行量が増えると相対的に円の価値が下がり、「円安」になります。
なので、実際に「円安」になる前にその動きを予測し、
預金の一部をドルやユーロに立替えてヘッジするという訳です。
※ 損をしないために、リスクを分散する感覚です。
また、金融緩和によって物価が上がっていくのが常です。
インフレを誘導して貨幣が多く出回るようにするのですから、当然です。
この緩やかな物価上昇は、その時は気付きにくいですが、
何十年も経つと大きな上昇として現れます。
実際に昭和40年当時に1万円で取引されていた物は、
今では2万円~4万円程度と言われます(日銀のページを参照)。
「貨幣の価値は変わっていく」と言うことは、
気付きにくいですが、常に起こっています。
どの業界に於いても貨幣取引が基本ですから、
貨幣価値の変化には敏感になっていて良いと思う訳です。
さて、前置きが長くなりました。
この物価上昇が葬儀の生前予約に繋がってきます。
生前予約が、もしインフレに対するヘッジが利くのであれば、
顧客にとって大きなメリットになります。
社長が視察したイギリスの葬儀社では、生前予約(生前契約)について、
インフレによる物価上昇分をヘッジすることができるそうです。
生前予約の比率が高い海外ならではの進んだ制度です。
実際に、イギリスで40年前に約30ポンドで生前予約を行っていた方が、
4年前に亡くなった時に、ほとんどこの金額で賄えたそうです。
現在のイギリスの葬儀費用の平均は、飲食などを除いた葬儀のみで約1,800ポンドです。
およそ60倍の物価上昇分を生前予約によってヘッジしたということになります。
聞いた話なので少し大げさかもしれませんが、
例え2倍3倍であっても、そのヘッジには価値があると思いませんか?
1万円程度で「会員にする」ことによる顧客の囲い込みより、
インフレによる物価上昇のリスクヘッジを請け負う「生前契約」の方が、
遥かに価値があると思います。
ただ、この制度を達成するには葬儀社側の資産運用力が必要でしょうから、
少し先の話かもしれませんね。