番組は、前半は「家族葬が増えている」という点、
後半は「自宅葬が再び増えつつある」という点、
この2点をテーマとして構成されていたと受け止めています。
まず、「家族葬が増えている」という前半部分での感想を2つ。
1つは、テレビで取り上げられていた家族葬が、「無宗教」で施行されていたこと。
葬儀に住職はいなかったですし、位牌も映っていませんでした。
無宗教であれば、お墓や今後の寺院のお付き合いは大丈夫かなと心配になりますが、
そのあたり番組では触れられていませんでした。
家族葬=小規模でアットホームな葬儀というイメージの紹介だけでは、
少し不親切という思いも残ります。
家族葬でも無宗教葬の場合は「葬儀後のフォロー」が重要になると推しはかりますが、
どうなのでしょうか。その点気になったのが1つ目。
もう1つは、家族葬を「家族や親戚で見送る」という視点で描かれていましたが、
見方を変えれば「会葬者数が減っている」ということ。
首都圏で顕著なのでしょうが、葬儀の本質である「弔い」は、
家族のみが負うものではないので、会葬者の減少は残念に感じます。
縁が薄れた場所で、歳をとって葬儀をする場合、
会葬者が家族や親戚のみになるのは仕方ないことか・・・。
一方で、身内だけで葬儀をするから、
アットホームな葬儀を行いやすいという点もあるでしょう。
会葬者をどこまで呼ぶかで、葬儀の質も変わってくる・・・といったことを、
番組の様子を見て感じました。
次に、後半の「自宅葬が再び増えつつある」という点より。
自宅葬の増加は葬儀の小規模化に連動している部分もあるでしょうが、
2年前の「葬儀についてのアンケート調査」から自宅葬への回帰傾向も有り得ると
考えていましたので、驚きはありませんでした。
※ 自宅葬に回帰していくか(工場長こと古家寛)
条件が整えば、葬儀は自宅で・・・という遺族の思いがあるのも普通でしょう。
気になるのは、自宅葬が増えるということは、
その分、会館の葬儀が減るだろうこと。
会館が全く使われないことは無いでしょうが、
会館の稼働率が変われば連動して変わることも出てくるように思います。
あと、家族葬が流行りだしたときに「家族葬専門」業者が出たように、
今後、「自宅葬専門」業者が出てきてもおかしくありません。
自宅葬に回帰するといっても、20年前に戻る・・・ということでは無いでしょうから、
「現代の自宅葬」のノウハウを売りにした施行業者が現れるのは、
個人的には気になる点でもあります。
そんなところです。
番組を見た後、何かモヤッとした思いが残ったのですが、
やはり家族葬が無宗教で行われていたことが気になったのかな・・・。