この規制緩和は、いくつか視点があるでしょう。
個人的に関心があるのは、以下の3点です。
1.葬儀の「現物給付」は流行るか
2.保険会社による葬儀社の買収はあるか
3.将来的に保険会社が葬儀の送客を主導するか
葬儀の「現物給付」が流行るかに関してですが、
先にも書きましたが、インフレに対するヘッジも影響すると考えています。
※ 生前予約とヘッジ
政府はデフレ脱却に向けてインフレ目標を2%としています。
仮にこの水準が続くとした場合、現在100万円の「葬儀サービス」があったとすると、
30年後、同じ内容のサービスは約180万円になります。
同じ掛け金ならば、30年後に死亡保険金として100万円を受け取るより、
「葬儀サービス」を受け取る現物給付を選択した方が得になる、
そう考える一般消費者も増える方が自然です。
もちろん、ヘッジを前提とした保険商品の売り方だけではないでしょう。
そもそも葬儀の販売チャンネルが保険会社にできること自体、激震です。
生命保険市場は、年々目減りしています。
(生命保険市場規模は、2000年の46.7兆円から2010年の41.0兆円に減少傾向)
規制緩和された場合、保険会社が市場開拓してくることは自然ですし、
様々な売り方で現物給付を流行らせるでしょう。
現物給付解禁に関連して、保険会社による葬儀社の買収は十分にあり得ます。
葬儀を子会社に送客できますからね。
既に、介護会社は生命保険会社に買収されています。
参照:介護施設運営事業への進出について
保険商品の開発と併せて、葬儀社の買収が戦略上の視野に入っていても、
不思議ではありません。
とはいえ「買収」は一部で、多くの場合は、
送客先として「提携」が現実的なところではないでしょうか。
送客ビジネスに関してはイオン等の前例もあります。
保険会社としても、手を付けやすいのではないでしょうか。
人が死んだら真っ先に保険会社に電話して欲しい、
(フランスではそれが当たり前らしいですが)
保険会社としては、そんな青写真を描いているでしょう。
葬儀の現物給付という強力な保険商品が流行れば、
保険会社が葬儀の送客を主導することも現実味を帯びてきます。
生保の現物給付解禁がされた場合、
保険会社による送客でマージンを取られる顧客が増えることは、
想定しておいた方が良いかもしれません。
あと、この規制緩和に最も敏感なのは互助会ではないでしょうか。
「互助会の掛け金」と「月々の保険料」は、
消費者目線で食い合う気がしています。