そして今回はその2つ目として、
お客様が「目で見て感じる満足の追求」をお伝えしたいと思います。
これは今までの接遇研修会でも、常に重要な位置にありました。
私は今、浄土真宗本願寺派中央仏教学院通信教育部で勉強をしています。
その学習会で、築地本願寺には月に数回通っています。
到着すると必ずご本尊にお参りをして、
朝の勤行が始まる十数分前から本堂に座ることが日課になっています。
私が座っている目の前では僧侶の方々が、
祭壇周りや所作に至るまで、儀礼の約束事の中で粛々と準備を進めています。
ご本尊が安置されている場所(本堂)で動く僧侶の方々は、
非日常的で神聖な空気感を醸し出し、その様子を見ているだけでも、
私の心は落ち着き勤行が始まる心の準備が整っていきます。
これは、葬儀式場にも同じことが言えます。
式場に祭壇(荘厳)が整えられ「ご本尊」が安置されたら、
そこは本堂そのものです。
開式前は、特に遺族親族にとって、
これから行われる葬送儀礼の大切な導入部分です。
ですから、開式前のご案内や祭壇周りの準備をするスタッフは、
全員のお客様がそのスタッフの姿を見て、
儀式導入の心構えになって行くような動きをしなくてはいけません。
葬儀の中では、ご本尊を中心としたご案内方法や、
読経と焼香案内の兼ね合いなど
「宗教儀礼の中でサポートをしている」という意識を持つことは必須です。
お客様は、スタッフの儀式尊重の厳粛な動きを見て
「この葬儀社にしてよかった」と、満足を感じているはずです。
スタッフの接遇行動を通して、葬儀のお客様に満足していただくための最終目標は
「お客様が、悲しみの中にも、温かい気持ちになれる葬儀(式場)」
を作ることだと思います。
それには、言葉も動きも、温かく感じのいいスタッフが
そこにいなければ成り立ちません。それを感じたお客様自身も、
知らず知らずの内にそのような雰囲気になっていくのです。
葬儀の接遇行動を通して「私は、プロです」と、
胸を張って言えるようなスタッフになりましょう。
自信を持って現場に立てるスタッフを育てることが、
講師としての私の目標でもあります。
新年度は改めて、葬儀スタッフが現場で話すこと、
動くことを追求した接遇研修会をお伝えして参ります。
一回の葬儀で満足したお客様は、
必ず様々な形で皆さんの葬儀社に戻って来ることを私は信じています。
今回伺った島根県の葬儀団体様の研修会は、
ほとんどの受講生が新人の方でした。
新人と言っても決して若くはない方もいらっしゃいました。
「葬祭業は、究極のサービス業」と言われますが、仕事の大変さも究極です。
まずは接遇だけに限らず、葬儀の中で何が行われているのか、
自分は何をするのか、何が出来なくてはいけないのかを早い段階で知ってください。
「マニュアルが無い」という声も聞こえました。
しかしマニュアルは生き物で常に変化しますから、
頼り過ぎは、かえって仕事の邪魔になり兼ねません。
又、マニュアルが無いのなら「自分で作る」のが仕事というもの。
見て、聞いて、書いて、動いて、反省して、考えて・・・。
現場という場所は、どこもその繰り返しです。
皆さん応援しています。チャレンジしてください!
悲しみのお客様は、待ったなしで皆さんを頼っています。