調べてみると、伊豆の辺りがこの「吊るし雛」発祥のようなことが書かれていた。
そうだろうか?
故郷の福岡でも見たような記憶があるのだが。
何にしても少し引っ掛かるのは縁起物である「雛飾り」に、
「吊るす・吊るし」という言葉を使うだろうか。
確かに、縁起は担いでいた。
例えば、5列の紅糸に11個の細工を吊るしてあるとか、
飾りの数は、3,5,7,9等の奇数が基本であるとか…
雛祭りの元になったといわれる「流し雛」は、
本来、子供の形代であり、身の穢れを水に流してもらい清める意味の行事。
これはきっと各地で見られるのだろうが、
私が中学・高校と過ごした佐賀県でも見ることができた。
(現在、佐賀神社のこの川には河童の像が…)
縁起物に「流す・流し」というのも少し不可思議である。
そして所謂「吊るし雛」も、福岡県では「さげもん」という。
縁起物に「さげ~」というのも〈恐ろしか~!〉
どうやら「雛祭り」には、「忌み言葉」の感覚は当て嵌まらないらしい。
幼い子がたくさん亡くなった時代の祈るような気持ちに端を発しているからか、
それとも、忌み言葉というものが世の中に登場する以前の事柄だからか。
実際、源氏物語に「流し雛」の記述があるということは、
それ以前から行われていた習慣だろうから。
私は、これと似た現象の言葉が葬儀にもたくさん残っていると思います。
だから葬儀の言葉も単純に割り切れません。
ある程度の分類は出来るでしょうが。
「さげもん」を見た当時の私の感覚は、「ここんち、お金持ち」ということと、
空中に飾った方がより華やかだから…としか思わなかった。
本当に単純だが、案外、正解に近いのかもしれない。