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2013年04月05日

東北への旅(2) ~荒浜慈聖観音慰霊~(加藤直美)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

仙台に到着して、すぐに仙石線に乗り換えて陸前高砂駅まで行きました。
ここは震災まもない7月に、築地本願寺のお仲間と震災復興に向かった、
蒲生という場所に近い駅です。
その時は浄土真宗本願寺派専能寺さんというお寺で、
泥のかきだしのお手伝いをしました。
1年後には、法要での仏教讃歌のお手伝いにも伺いました。
専能寺さん周辺も津波の爪痕は大きく、海の方は見渡す限り何もありません。
ボランティアで伺った時には、その周辺部に足を運ぶことはありませんでした。
その惨状を見物のように、見て回ることはしたくなかったからです。
しかし2年が経ち、夫にも体感して欲しいと思い
「慰霊」を旅の計画の一つにしました。

駅で乗った個人タクシーで1時間程度の貸し切りを交渉して、
荒浜まで行ってもらいました。
途中で通り過ぎた専能寺さんの墓地を見ると、
当時ほとんど倒れていた墓石がきれいに修復されていて、
ホッと胸をなでおろしました。
この辺り一帯の景色が変わってしまい、
「今、どこを走っているのかが、時々分からなくなる・・・」
とタクシーの運転手さんが言っていました。

荒浜の深沼海水浴場に近い場所に、
この三回忌に新しく建立された「荒浜慈聖観音」には、
たくさんの方が訪れていました。
慰霊碑には、この地区で犠牲になった189人の方と
当時交通誘導中に殉職した巡査のお名前が刻まれています。
その中には幼い兄弟のようなお名前もあって、私は言葉になりませんでした。
私たちも、お線香をあげさせていただき静かに手を合わせました。

すぐそばにある松林や、海岸の手すりは大きく歪み、
これを見ただけでも津波のとてつもない力が分かります。
多くの方々のご遺体があがったこの場所に立つと、
体が震えるほどに「地震が憎い、津波が憎い・・・」と思いました。
夫も黙って海を眺めていました。

普通に生きていることが、どれほど有り難いことかを
亡くなった多くの尊い命が、私たちに教えてくれていると感じました。
そして「この災害を風化させてはいけない」と、深く心に誓いました。
心からご冥福をお祈りいたします。 合掌

つづく

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2013年04月05日 08:30

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