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2014年06月17日

園田一男 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

会社内…ある日の電話。
西田「はい?…むろ、もしもし、むろの…ぞの?、むろの??」
井手「…ん??」
何やら西田が悩んでいる様子。

西田「あのー社長、むろ何とか…えーと、むろのぞろ…だったっけ、知ってます?」
井手「もしかして、一人知ってるけど」
じゃあ、と電話を渡された。

井手「お電話代わりました」
その途端、何やら聞き覚えがある声で
「おー園田、小学校の時…云々」と相手が言っている傍から
井手「室乃園君?」
室乃園「おー、やっぱ園田か?いやーネットで見つけてな…」
北九州特有のガラの悪い感じがする方言満載で喋ってくれる。
つい私も「でたん、懐かしかやん!」
会話は延々と続き…
「おう、…やけんの」
「ほんじゃ、○日にのう」
「おう、待っとるけんのう」
こうなったら最悪だー!
社内で、まるでヤクザのように見られた私。

それにしても、昔から担任泣かせの苗字だ。
<室之園>(むろのぞの)

話をするには30数年振り、よく声で分かったなあ…と思う。
人の声の特徴を脳の何処で記憶しているのだろう。
しかも年相応に掠れているし、濁声になっているし。
本当に不思議。

しかし、凄まじく懐かしい。
自分を「園田」と呼ぶ人間は、小学校の5年まで過ごしたあの町の人間だけ。
父と2人暮らしだった幼い頃が甦った。
室之園君とは小3の頃から一緒の野球チームで過ごした仲間だ。
クラスも一緒だった。
聞けば今でも福岡に居るらしい。
来月、博多で呑む約束を取り付けた。


(昔日の面影はありませんが、5年間通った懐かしい校舎です)

私には、2つの顔がある。
「園田一男」として暮らした11年間と、
それ以降、暮らし続けている「井手一男」の人生である。
友達からは、二通りの呼び方で…何だかこんがらがる。

今でも日本には、無国籍児が3,000人程いるらしい。
昔はきっと今より多い筈。
そして私もその一人だった。
(厳密には、私は無戸籍児だと思う)
だから保険証なんて見たこともなかったし、原則、病気はしない。
仮に病気をしても気力で治す。(笑)

天皇家みたいだけど、戸籍上、私には苗字がなかった。
通称、園田一馬(父)の<同居人>だからということで
戸籍上は「同居人 一男」と載ったのが父が亡くなってから。
(因みに、俳優時代の井出一馬は父の名を借りていました)
取り敢えず、戸籍には名前が掲載されました・・・とさ。

父が急死してから籍が入っていないことが判明し、親戚は右往左往。
親類や義兄弟が形だけでも私を養子にしてくれれば、
当時大好きだった「園田」を名乗ることが出来たのだが、
大人の屁理屈が存在するらしく、まして11歳の私の力ではどうすることも出来ず。


(この折尾駅には思い出がいっぱいあります…懐かしい)

半年後…結局、「井手家」に養子縁組に行かざるを得なくなる。
それが6年生の1学期が終わってから。
その間、中では色々激動があるのだが…(ちょっと書けない)

中学に入る時、私は馴染みの薄い「永光一男」で入学する。
そして直ぐに「井手一男」になるのだが、ややこしいし恥ずかしいしで大変。
「永光」というのは、当時は会ったこともない母親の氏である。
後で知るのだが、産みの母親の姓に一旦戻ってからの養子縁組だというのだ。
そうでなければ成立しないらしい。

そして20歳。
お世話になったが、綜合的に判断して「養子縁組」を離縁させてもらった。
だが、それでも「園田」には戻れない。
戻るとしたら「永光」だけ…ホトホト嫌になった。

今、仕方なく「井手」を名乗っているが、あれから44年。
私の感覚では苗字とは単なる記号のようなもの。
根本的に<井手>にアイデンティティがないから。
しかしこの年になり、子供も居るので、少し愛着が出てきたかな…と思う。
それでも我が家の家紋は、こっそり「園田家」の家紋にしてある。

この世に、カゲロウのようにしか存在しなかった無国籍児「園田一男」。
懐かしい名前で呼ばれて、かなり興奮したぜ。

※無戸籍の解消(ウィキより)

出生届が出ていない結果無戸籍となっている場合は、父母または出生届を出すべき者が出生届を出すことにより、無戸籍を解消できる。出生届は、14日間の届出期間を経過していても有効である[1]。しかし、出生届を出すべき者がいない場合はこの方法では無戸籍を解消できない。
無戸籍者本人は、家庭裁判所の許可を得て就籍(しゅうせき)することにより、戸籍を得て無戸籍を解消することができる。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2014年06月17日 08:32

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