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2014年08月13日

突然変異の再獲得 (井手一男)

カテゴリー : MCエッセイ 七転八起

幼い頃、犬の眼は白黒でしか見えないんだよ、と誰かに教わった。
犬は視力が弱いことも聞いた。
しかし、人間の数十倍の能力を持つ嗅覚で補っているのだと…

我が家にカラーテレビがやってきたのは小学何年生だったか。
それまでは、少なくとも小学1年生までは間違いなく白黒TVだ。
犬は、死ぬまで白黒のままだけど、私はカラーの世界を生きているし
TVもカラーに、当時は総天然色といったが、変わっていった。
プロレスの力道山の試合なんかで、相手レスラーの額から真っ赤な血が流れて、
TVから赤い血が…それはもう臨場感たっぷりのシーンに酔った。

幼い頃、犬が可哀そうだと思ったが、
大人になってカラーで世界が見えている哺乳類は殆どいないことを知った。
えっ!酷いよ、犬だけじゃなかったの?

今、百田直樹の新作「プリズム」を読んでいる。
他の作品に比べると、少し…。

プリズムとはご存じの通り、屈折率の異なる水晶やガラスなどの透明な媒質の多面体。
混ざり合った光は、それぞれ分かれて見ることが出来る。
これは恐らくこの本のテーマだろう。

光は電磁波である。電磁波とは、電磁的エネルギーが
空間を振動しながら伝播していく物理現象を指して言う言葉だ。
人間の眼で見る「光」の概念が、電磁波としては、
物理的エネルギーとしての「紫外、可視、赤外」という光の概念に拡張されてきた。
赤は波長が長く、青は短い。
紫外線より波長が短いのは、X線、更に短くなってガンマ線。
最も短いマイクロ波の使用例は、お馴染み「電子レンジ」がある。

残念ながら、人間には紫外線が見えない。
それでも犬よりはマシ。
更に、殆どの哺乳類は、今でも赤が見えない…白黒のような世界である。
ところが、魚類、両生類、爬虫類、鳥類は、3色の他に紫外線も見える。
3色とは、長い波長の赤(R)、中波長の緑(G)、短波長の青(B)
…光の3原色(RGB)である

実は、初期哺乳類にも紫外線が見えていたのだという。
しかし、長く続いた恐竜全盛時代、人間の先祖は鼠くらいの大きさになり、
夜行性になり、コソコソと生き延びてきたのだ。
その間、昼間の光を見ない時代が長く、色覚は衰え「2色色覚」になった。

しかし、奇跡は起こる。
恐竜が絶滅。
全ての生物の内、20キロ以上の生物は死に絶えた。
鼠程度になってコソコソしていた人類の祖先は運がいい。
時を経て、再び昼間活動するようになる。
その後、哺乳類の中で、突然変異で「赤」の視覚を獲得した種類の末裔が、
赤い果実を食べ、それが猿→類人猿→人類へと繋がっていった。

いつの日か、「紫色覚」も獲得できないだろうか。
突然変異でもいいが、出来ればグラスを掛けることで。
デザインからすべての世界観が一新されるだろう。
上空から鳥だけに4原色なんて、悔しくて腑に落ちないし、
魚類、両生類、爬虫類にあって人間が持ち合わせていないのは納得がいかない。
誰か開発してくれないだろうか。

投稿者 葬儀司会、葬儀接遇のMCプロデュース : 2014年08月13日 08:19

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