教室の時間までに板の履き方や脱ぎ方を簡単に教えてみましたが、
すぐに自分も他の人のように滑れると思っていた息子は、
前に進むことも横を向くことも出来ずに悪戦苦闘。
そのうち思うようにならないのでふてくされ始め、
そうこうしている間に教室がスタート。
たまたま他の申し込みが無かったので先生と息子のマンツーマン。
その様子をロッジからビール片手に見守りました。
麓で基礎を教わると、リフトで上がっていったのでビックリ。
結局、午前午後と2回、同じ先生にみっちり教えてもらい
ずいぶんと上手になっていました。
息子の帰りを待ち、ようやく私も板を履きました。
先生と同じようにリフトで上がり・・・
今思えば、なんであんなことになったのか、と
後悔せずにはいられません。
それに至るまでに色々とあったのですが、
滑り始めてしまったからには後戻りは出来ず、
今日はじめての初心者、ましてや6歳にとっては・・・
お尻をついただけでも滑り台のように滑ってしまう雪質と急斜面。
しばらくは転んでもまた立ちあがり楽しく滑っていたのですが、
途中から泣くわ・喚くわ・投げ出すわで遂に息子の心も折れました。
しかし私が抱っこして、息子の板を持って滑ったとしても
すでにリフトは止まり、滑ってくる人は誰もいません。
万が一転んだらそれこそ大変なことになると思い、
結果的に私も息子も二人で板を外し、左手で二人分の板とストックを持ち
右手を息子とつなぎ歩いて下りました。板は相当な重さです。
見降ろしてもさっきまで居たロッジが小指の先位の大きさで
抱きしめた息子が腕の中で泣き叫んでいる声だけが響き
自然の怖さ、誰もいない孤独と不安に押しつぶされそうになりましたが
とにかく必死に冷静を装い
「大丈夫、大丈夫」「ゆっくり少しずつでいいから頑張ろう」
と繰り返し3月の溶け始めたゆるい雪の斜面を下りました。
一方、携帯も繋がらず閉園時間が過ぎても戻ってこない私たちに
遭難でもしたのではないかとパニックを起こしたジジババが職員の人に頼み
捜索にいく手はずを取ってもらっていたところ、私達の姿を目視したのでした。
ようやくみんなの姿が見え息子も安堵したのでしょう。
最後は板を履かせ、ジジババと職員の方たちが見守る中
自力で滑って下ったのでした。
歩いて下っている途中に捻挫した足が悲鳴を上げ、
私はとにかく休みたかったのですが、迷惑と心配をかけたことをお詫びし、
閉園ということもありそそくさとスキー場を後にしました。
「よく自分で滑って来たね~」「すごいじゃない!」「上手になったね~」と
ジジババに褒められ、「簡単だったよ」とすっかりご機嫌を取り戻した息子。
すっかり握力を失い上がらなくなった左腕が痺れ、
痛む足に一睡もできず翌朝を迎え、帰路に着きました。
調べてみると、中級者向けのジャイアントコースという
最も長い1500mのコースを、1時間半かけて下りたのです。
スキー教室の先生と練習していた初心者コースとは違うコースを
息子が「こっち」と選んだことが始まりです。
とにかく息子が怪我もなく、結果的に楽しかったなら良い旅になっということでしょう。
私にとっては壮絶でしたが(笑)息子もよく最後まで頑張りました。
来年は下調べをきちんとしてから出かけます。